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ニュースの現場で考えること

神奈川新聞のブログについて

ブログを利用した神奈川新聞のニュースサイトが話題になっています。聞くところにによると、現在も「視察」が引きも切らないとか。その多くが(当然ですが)既存新聞社だそうです。なんだかんだと言いながら、この新しい波を各社は無視できないのでしょう。

私はニュースサイトのブログ化は賛成です。「1対マス」を軸に築かれてきたニュースの送り手と受け手の関係は、もう限界です。新聞業界は数少なくなった「護送船団方式」の業界ですし、その歪みは報道現場でも営業・販売等の現場でも多々生じています。そもそも、(賛否は別にして)日本の企業社会が規制緩和、資本と労働の自由化に向けて驀進している以上、この業界だけがその大波と無縁であるはずがありません。

既存メディアによる報道の歪み等については、これまでも縷々書いてきましたので、ここでは省略し、実際にニュースサイトにブログを導入する場合、メディア企業はどういうことをする必要があるのかを考えてみました。もちろん、最大のポイントは、トラックバック(TB)やコメントへの対応です。TB等を完全にフリーにした場合(もちろんこれが一番望ましい)、法に触れるようなTBやコメントがあった場合、どうするかという問題が生じます。



例えば、選挙運動期間中やそれを間近に控えている場合に、特定候補を支援したり、誹謗したりする内容が来たらどうするか。候補の個人名を挙げていなくとも、その主義主張を話題にしていれば、選挙妨害になる可能性もあります。新聞社の公式ブログとしては、それはかなり問題になるのではないでしょうか。

事件事故等の場合は、紙面では書いてない関係者のプライバシーが暴かれてしまうかもしれません。とくに少年が加害者となった事件、若い女性が被害者となった事件等では過去、この種のことが実際にネット上で起きました。当たり前のことですが、少年法は加害者の実名を報じることを禁じています。法律がケシカランと言っても、その法律を変えようと言う議論と実際に破ってしまうことは雲泥の差があることは自明です。もちろん、この種の暴露については既存のブログサービス提供会社は利用規約で禁じています。例えば、エキサイトはこれ

意見の相違やそれに基づく議論、或いはニュース記事や新聞社に対する批判ならいいのですが、上記のような問題が起こった場合、それを削除できるのか、そうであればどういう基準を示せるのか。さらに、その作業を現実に行うとすれば、当該のTB等を削除したことをどういう形で公表するのか、しないのか。作業は24時間態勢になるのか、その場合に人員の確保はどうするのか。。。そんなことを考えました。

一方、ブログの特徴を最大限に生かすには、記事の筆者なり編集部門の誰かなりが、さらにコメント等を記すことが必要になってきます。ただ、ニュース記事に関してTB等をもらった場合、「誰がコメント等を返すか」は現実問題としては結構大事な気がします。当然のことながら、現場記者は現場を歩いて取材することが第一義的仕事です。仮にTB等が殺到したとして、どこまでそれにかかわる時間を確保できるか。しばらく放置すれば「無責任」との批判が生じるでしょうし、そちらに時間を割くと取材時間が減る、という問題もあります。また、休暇等との兼ね合いも発生するでしょう(まあ、これらの「手配」に関する部分は組織内で十分に議論すれば済むことですが)。

また、地方紙の場合は「通信社原稿」をどうするかの問題も出そうです。ご存知のとおり、地方紙は、地元以外のニュースの大半を通信社原稿で賄っています。紙面掲載の場合に不明点等があれば、もちろん通信社側に問い合わせた上で掲載していますし、それに伴って誤報等が生じたときも、掲載側は編集責任が生じます。実際、ロス疑惑事件でそういう判決が続出しました。判例として定着したと言って良いでしょう。しかし、北海道から遠い地の出来事に関して通信社原稿を使い、それをネットでブログ化して掲載し、そして当該地域の方でないと分からない話、或いは微妙なニュアンスに関する問い掛け等があった場合、どういう対応をすべきか(しないか)。

これに限らず、種々の問題があるでしょうが、しかし、考え始めればキリがありません。私自身は「見る前に跳べ」タイプなので、導入するなら早い方が良いと思っています。
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by masayuki_100 | 2005-02-28 19:13 | ■ジャーナリズム一般