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ニュースの現場で考えること

「余罪摘発」にインチキ多数?

余罪送検せず「検挙」処理 警察庁通達 手続き適正か疑問

上記は「中日新聞inしずおか」に掲載されたものですが、元々は西日本新聞のスクープです。しかも、これは相当にすごいニュースだと思います。概要は以下の通りです。

「警察庁が一九八九年、窃盗事件などの余罪を検察庁に送らなくても、「検挙」(容疑者の身柄を確保したという警察用語)として処理できると定め、全国都道府県警察に通達していたことが分かった。「不送致余罪」と呼ぶこの手続きは、被害者の処罰感情の聴取を義務付けておらず、そのまま余罪の処罰が見送られる危険をはらむ。さらに、警察が予算要求の根拠などに用いてきた犯罪統計の信用性も揺らぎかねない。」

警察には被害が軽微な事件については、内部で処理を済ませる「微罪手続き」が認められていますが、このニュースは、犯罪被害の態様や被害金額に関係なく、警察内部で事件処理を終えることを認めていた、という話です。あれれれ、です。刑事訴訟法では、警察は事件を検察に送致する義務があるんじゃないの? それをしないなら、「余罪」捜査の正確さ、公正さはいったい誰がどう担保するのでしょう? 兵庫県警では昨年6月、事件書類を数百件も捏造していたことが発覚しました。検挙率の実績を挙げるために、解決もしていない事件を解決したとデッチ挙げていたのです。そして、今回のこれ。

この報道によれば、2003年に検挙された窃盗事件の45%は、この「不送致余罪」だったそうです。45%すべてがデッチ上げなどというつもりはありません。しかし、そうでない、と言い切る材料もまたありません。

日本の安全神話が揺らいでいると言われていますが、こんなに、いとも簡単に数字をいじることができる数字をもとに「犯罪統計」がつくられているのです。犯罪統計のいい加減さについては、いずれまとめて書くつもりですが、犯罪統計の数字は、社会で実際に起きた事件を正確に反映しておらず、警察による操作が相当に加わっていると思った方が良いのかもしれません。

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by masayuki_100 | 2005-02-18 04:16 | ■警察裏金問題全般