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ニュースの現場で考えること

インディペンデント紙のデザインとメッセージ性

インディペンデント紙のデザインとメッセージ性_c0010784_6145179.jpgロンドンへは、昨年3月1日付で赴任したから、きょうでちょうど1年になる。ここの支局はロンドン中心部にあって、場所は便利だけれど、部屋はそう広くもなく、壁際には古い新聞が山のように積み上がってしまった。折を見て、古新聞は処分するのだが、なかなか捨てられない新聞もある。実際は、再び、ひもとくことなど滅多にないけれど。

ロンドンで1年過して、やはり、一番気に入っているのは、インディペンデント紙だ。記事はメッセージ性が強く、言いたいことがはっきりしている。それに何より、デザインがいい。例えば、今年2月6日の1面は、こんな感じだ。今年1月の一カ月間にイラクでいったい何人が犠牲になったのか、それを一日ごとにカレンダーのように示し、犠牲者の数を地域ごとに示している。

分かりやすい。ページをめくれば、2面に記事があるのだけれど、記事を読まなくても、伝えたいことが伝わってくる。書き手が「きょうはこれを訴えたい!」と考えていることが、明瞭に分かるし、日本の主要な新聞とは、明らかに違う。記事そのものも、単純な「こう思う」式ではなく、おおむね、綿密なデータや取材に基づいて、しっかりと書かれていると思う。

この種の紙面つくりに対しては、当然、賛否はあるだろうと思う。とくに、「客観報道」を何よりも是とする習慣に染まった日本の新聞、そして読者には違和感もあるかもしれない(そもそも「客観報道」にこそ、大いなる問題があるのだが、それについては以前にも書いた(ココやココ)ので、ここでは書かない。

インディペンデント紙の1面は、ネットでも見ることができる。日々の1面を並べて見ると、なかなか、壮観である。
by masayuki_100 | 2007-03-01 06:29 | ★ ロンドンから ★