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ニュースの現場で考えること

小泉首相の下で、日本の「官」は弱くなったのか?

今朝の朝日新聞の1面に、<自民総裁選への視点 下 「官から民」風止めるな>という記事が大きく掲載されていた。ネットには載っていないようなので、原文は新聞を読んでもらうしかないが、私なりに簡単にまとめると、その記事は、「格差社会に目が行くようになり、総裁選候補も改革は行過ぎていたと感じているようだ。官から民への動きが止まろうとしている、その隙間を縫って、再び官が勢いを増そうとしている」という趣旨だ。

確かに、官から民へ、という動きが、すべて悪であるはずがない。税金の非効率な使い方を改め、官業をより効率よくするのは(行き過ぎは別だが)当たり前の話だろうと思う。ただ、小泉政権が続いていた間、官僚の力が弱くなった・弱くなっていた、という見方には若干の異論がある。

むろん、「弱くなった」かどうかは、「比較」の話だから、何と比べて・いつと比べて、という基準が欠かせない。だから、人によって種々の見方はあると思う。だが、私の感覚的な意見で言えば、少なくとも、経済の根幹を握る金融庁や財務省はこの間、より一層、力を貯え、政治や経済への影響力を強めたように思う。首相直属の経済財政諮問会議にしても、その事務方は内閣府であり、内閣府は省庁再編後の早い時期から中枢は財務官僚が仕切ってきた。私が東京で、内閣府を担当していた時代は、「骨太の方針」を軸として、まさに経済財政諮問会議が一番脚光を浴びていた時期だが、あのペーパーも官僚が書き上げていた。

そして、銀行や保険会社の生死を、いわばツルの一声で決める権能は、かつてよりも強くなっていったと感じる。

この間、弱くなったものがあるとすれば、自民党の「族」である。だがそれも、自民党の権力維持の源泉が、郵政関係から他に移ったとか、或いは特定の部会の力が相対的に落ちたとか、そういった「権力の重心移動」の話ではないか。そして、かつての田中派につながる種々の権力維持の仕組みは、ほぼ崩壊したということなのだろう。

最盛期の田中派(田中首相)は、官僚を自在に操ったとされる。小泉政権は、そこまで官僚に睨みを効かせていたのだろうか。
by masayuki_100 | 2006-09-13 03:14 | ★ ロンドンから ★