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ニュースの現場で考えること

いつしか夏も終わり

前回、ここに書いたのは、サッカーW杯の最中だった。その間に、「1912年以来」と言われた猛暑の7月は去り、夏は8月4日に終わった。いまはもう、ロンドン市民は、朝晩長袖である。時には、コートを羽織っている人もいる。それほどに街は涼しくなった。

この間のトピックと言えば、ロンドンを舞台にした「航空機爆破テロ未遂事件」だろうか。ロンドン・ヒースロー空港発の米国行き航空機を大量に爆破する計画であった、とされている。標的は10機とも12機とも、言われた。当初、24人が身柄を拘束され、起訴前に数人が保釈された。

この種の事件の実相は、裁判が始まってみないと分からない。当地の報道でも、計画内容はずいぶん、種々の内容が語られた。「子連れの夫婦が実行役で生後半年の子供を道連れにするつもりだった」という話、「ペットボトルの燃料を使い捨てカメラのフラッシュで発火させる計画だった」という話、「殉教ビデオが見つかった」という話。ほかにも種々、書き尽くせないほどの雑多な話が報道されたが、計画内容については、9・11と比較すると、どうも幼稚な感じがする。嘘ではなくても、政府・治安当局から英国記者へのリーク情報が、どこかで何かが誇張され、それが繰り返され、派手に喧伝された感じがぬぐえない。

この関連でいうと、計画発覚後、英国やその他の国々の空港では、「どうしてこんなことで?」と思うような理由によって、乗客の強制降機や航空機の引き返し・緊急着陸が続いている。

数日前に明らかになった「強制降機」は、22歳の大学生2人。スペインに旅行に行った帰り、英国行きの飛行機に乗ったところ、他の乗客が「あいつらアラビア語をしゃべっている」「名前がイスラム系だ」「服装がヘンだ」とか騒ぎ、「こいつらを降ろしてくれ。きっとテロをやる連中だ」などと乗務員に言い募ったらしい。

2人は確かに中東系の容貌で、黒の革ジャンを着込み、飾り物をちゃらちゃらと身につけていた。でも、それは、高齢の人から見れば眉をひそめたくなる格好ではあっても、「テロリスト」ではない。だいたい、テロリストに決まったファッションなどあるものか。結局、2人は降ろされ、別の便で英国へ戻ったのだが。

他にも、機内に備え付けの紙製汚物入れの隅っこに見慣れぬ文字が書かれていたとして、エジプト行きの飛行機がイタリアに緊急着陸したとか、搭乗前の清掃中に機内で読めない文字の紙片が見つかり一帯が閉鎖されたとか、航空会社のパイロットなのにイスラム系というだけで飛行機から下ろされたとか、とにかく、そんな話が続々と明るみに出ているのだ。過敏すぎると言えば、その通り。乗客の不安も分からぬでもない、と言われても、うなづいてしまう。

空港の警備担当者は、明らかに「人種」を意識し、非白人を重点的に調べているのは、周知のことだ。実際、ヒースロー空港に行くと、搭乗前の保安検査において、係員に声をかけられ、別の場所へ連れて行かれるのは、ほとんどが非白人である。実際、昨年7月のロンドン同時テロ後は、ロンドン警視庁幹部が「白人を捜査対象にするのは時間のムダだ」と語っている。

そんなことを考えているうちに、当地の夏は完全に終わったのだ。
by masayuki_100 | 2006-08-26 08:01 | ★ ロンドンから ★