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ニュースの現場で考えること

そこまでするか?

昨日、「クルド人親子を強制送還 国連の難民認定者で初」というニュースが流れました。

 日本政府に難民認定を求めたが不認定とされ、東京入国管理局に収容されたトルコの少数民族クルド人のアハメト・カザンキランさん(49)と長男が退去強制処分となり18日午後、トルコに送還された。支援者が記者会見し明らかにした。
 カザンキランさんは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の難民認定を受けており「認定された人が送還されたのは日本では初めて」(UNHCR駐日地域事務所)という。
 大橋毅弁護士は「退去強制処分の取り消しを求め最高裁で係争中なのに送還するのは不当だ」としている。


過去の経緯は「クルディスタン日本語NEWS」でたどれます。難民認定を受けた人の送還は初めてだそうですが、似たような話は時々あって、そのたびに、なんてことやってるんだろうなあ、と思わずにはいられません。ニュースを知った知人(女性のライター)からは、こんなメールが届きました。



突然飛び込んだクルド人強制送還のニュースに、私は言葉を失った。鳥肌が立ち、しばらく呆然としてしまった。 スマトラ地震への大金の援助が、偽善的にさえ思えてくる。いったい日本は、どこに向かっているのでしょう?  英語教育の充実が国際化ですか? 国連の常任理事国になることや、多くの世界遺産が登録されることが、私たちの目指す国際化でしょうか? 世界がどう動いているかも、さまざまな文化や歴史、そこで生きる人々が何を考えているかも知らずして、国際化はないでしょう。
今回の措置は、あまりにも残酷だ。昨年夏、クルド人一家が座り込む国連大学本部前に立ち寄った。日本で最も華やかな東京・青山で、着古したジャージ姿の彼らは座っていた。その貧富の格差に愕然とし、日本の難民問題について改めて考えさせられた。
恥ずかしながら、私自身、クルド人を知ったのは、それほど昔ではない。パリの語学学校の同じクラスに、クルド人がいたのがきっかけだ。「クルド民族について知らないようね」と、イラク周辺の地図を書きながら、その女性は説明してくれた。スイスに移民した彼女に暗さはなく、スポーツジャーナリストになりたい、と明るく将来を語っていた。
その後、オランダでもう一人のクルド人に会った。日本のガイドブックにも載っている、クルド料理レストランの店長だ。最後の客になるまで粘った私と友人は、強い蒸留酒をごちそうになり、クルドのダンスまで教えてもらった。にこやかに店内を飛びまわり、苦難の人生など微塵も見せない男性だったが、彼は二度と生まれ故郷には戻れない身だった。
世界各国が難民問題を抱えている現状で、日本はその流れに逆らっているような気がしてならない。私たちの国だけが、どこか地球以外の星に取り残されていて、世界と結びついていないかのごとく。
国連大学前で言葉をかわした女の子は、テレビの記者会見で泣き崩れていた。国を持たない彼らを、どこへ追い払えば気が済むのだろう。国を持っている私もまた、どこかへ運ばれていくような恐怖を感じる。


入管難民法の解釈や運用、過去の同種事例と比べての判断等、いろいろ理屈はつくのかもしれません。でも、こういうことを「ひどい」と思わない人たちは、やはり私は「ひどい」と感じます。「法律の厳格な趣旨に照らして運用した」といった行政側の声が聞こえてきそうですが、ほかの面では厳格な運用をせずに裁量権でもって済ますのに、こういう場合は途端に「厳格」になるんですよね。仮に、これが北朝鮮であっても、強制送還するんでしょうか?
そこまでするか?_c0010784_17453890.gif
by masayuki_100 | 2005-01-19 11:53 | ■政治・経済・国際