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ニュースの現場で考えること

バブル時代と年の瀬

株式市場の活況が続いている。21日の東証は3日続伸で、日経平均株価は前日比316円31銭(2.02%)高の1万5957円57銭。上げ幅は今年3番目、そして年初来最高値も更新した。東証1部出来高は25億7604万株、売買代金は3兆3424億円というから、なかなかのものだ。バブル期につけた史上最高値を更新する銘柄も結構出ているようだし、(素人判断では)この勢いは当分衰えない感じがする。

そんなニュースの一方で、暗い話を投げかけるのは気が引けるが、「年末の株高」というと、どうしても、1989年(平成元年)12月を思い出す。同月29日、東京市場の日経平均株価は終値が3万8,915円87銭になり、史上最高値をつけた。私は当時、入社4年。札幌の本社経済部で仕事を始めて半年、駆け出しの経済記者だった。

あの頃の雰囲気は、今思っても異様だったと思う。ふつうの日刊紙も経済特集(というより投資特集)を争ってつくり、「マネー」という言葉が急速に一般用語になり始めていた。社内の先輩たちとワアワア言いながら、「年が明けて3月末、平均株価はいくらになっているか」と話していたことを思い出す。記憶では、「下がる」と言った人はほとんどおらず、「4万円」「4万5千円」といった景気の良い数字がポンポン飛び出していた。

私は、経済の「ケ」の字も理解していなかったが、当時、いくつかの出来事が妙に引っ掛かったことを覚えている。そのころの私の担当は「不動産・建設・リゾート」。いま覚えば、まさにバブルそのものが担当だった。

引っ掛かりの一つは、北海道東部のあるゴルフ場計画だった。本州企業の北海道支店で話を聞き、さて、記事にしよう、ホテル併設のゴルフ場計画なんて珍しくもないが、郡部にとっては地域振興の目玉だからな、自治体の首長さんも後押ししてると電話で答えていたし・・・などと思いながら、社内の調査室で調べものをしていた。当時は今のように、便利なデータベースなど存在しておらず、過去の記事を調べるには、調査部の方々が作成してくれている「切り抜き帖」くらいしかない。テーマごと、地域ごとの切り抜き帖を古い順に見ていたら、「××のレジャー計画、破産。ゴルフ場用地は放置」という記事があったのだ。1970年代後半の、当時から数えても10年ほど前の記事だったと思う。

「レジャー計画」(その頃はリゾートという言葉もなかった)破綻を報じる記事が指し示していた場所こそ、まさに「ホテル併設のゴルフ場計画」の場所とピッタシ同じだったのである。過去記事の写真に映った「××計画地」という看板の位置まで、新計画の看板と同じ位置だった。で、それが気になって、あれこれ調べていくと、リゾート計画の少なくない箇所が、「列島改造ブーム」のときの「頓挫したレジャーブーム」の計画地とまったく同一であり、それこそ、あちこちで蘇ったのである。

いや、正確には蘇らなかった。その北海道東部の計画も、そのほかのいくつかの計画も、結局は、リゾートブームの「ブーム」に乗れず、破綻し、会員権販売で多額の資金を集めた企業も消えた。で、残ったのは、土砂流出の保全工事すら出来ずに、工事途中で放り出された郡部の土地である。10数年の間に、同じことが2度も起きた・・・。おそらく、そんな土地は全国にたくさんあったのだろうと思う。



もう一つの「引っ掛かり」も、リゾート絡みである。当時、北海道のある測量会社を訪ねた。海外で300億円規模のリゾート計画を持っており、その話を聞くためだった。会社の名前は初めて聞いたが、別の全国紙は既に記事にしていたし、同じように書くのは嫌だな、違うポイントは無いかな、と思っていたことを覚えている。ところが、街の中心から離れた会社に着くと、私は大いに驚いた。300億円も投資する企業だから、大きな自社ビルがあるものだと思い込んでいたが、2階建ての小さな社屋しかない。「社長」に会っても、リゾートの哲学があるわけでもない。そもそも、長く測量会社の経営者だった人だ。古びた応接室で、リゾートの模型を見せられても、うーんと唸るしかなかった。銀行に聞くと、確かにうちが付いていますと言うし、原稿は書いたのだが、その会社はほどなく倒産してしまった。

今朝の朝刊には、<市街地の空洞化に歯止め、「郊外大型」の出店を規制へ>という記事も踊っている。大規模小売店舗立地法などの改正を進め、延べ床面積1万平方メートル超の大型小売店・商業施設の立地を制限する内容だ。郊外への大型店出店を制限して、空洞化の進む中心市街地の活性化を図る狙いだという。

バブル時代は、まさに規制緩和時代の先駆けであり、多くの開発物件が登場した。大店法の規制緩和もその一つで、各地域には郊外に大型商業施設が続々と登場。その一方で、駅前などの商店街は、どこも急速に寂れた。おそらく、流通業は大型のショッピングセンター時代が終わり、コンビニなどに時代は移った、だから、大店法はもういいよ、ということなのだろう。大型商業施設の廃止はいま、地域社会では大問題だ。旧来の商店街を「シャッター通り」にした大型店が、今度はその地域からも消える。全国、いや全世界を自由に動ける企業は残っても、核を失った地域社会は漂流をいっそう強めるのだろう。
by masayuki_100 | 2005-12-22 06:21 | ■2005 東京発■