2005年 10月 28日
やっぱり目が離せぬ「Grip Blog」
5号館のつぶやきさんが少し前のエントリ「ユキムシの頃」で書かれていたように、この札幌郊外でも連日、雪虫が舞っている。もうすぐ、雪の季節だなあ、としんみり。やはり、北海道の夏は短すぎるし、秋の駆け足は早すぎる。空気が凛とした、寒い季節も嫌いではないけれど。
パソコンにアクセスもせず、そんなぼんやりした日々を過ごしているうち、Grip Blogで面白いことが起きたようだ。「緊急!「民主党 ブロガーと前原代表との懇談会」の出席者募集」が、それである。10月末日、民主党の前原代表がブロガーを招いて、党本部で懇談会を開催するという。「懇談」と称してはいるが、内容はオープンになることを前提にしており、実体は記者会見と同種のものだ。
同じ時期、自民党もブロガーを集めた懇談会第2弾を開催するようだ。これもGrip Blogに書かれている。その末尾でGrip Blog主宰の泉あいさんが、「民主党さんはどうすんのょ」と溜め息交じりに書いており、もしかしたら、民主党はその溜め息に突き動かされたのかもしれない。
双方の政党による「ブロガーの招き方」を見る限り、私は民主党に軍配を上げる。自民党が党側で人選を行ったのに対し、民主党側は、人選を泉あいさんに一任しているからだ。警備上の理由など種々の要因が働いた結果かもしれないが、名も無き(いや、すでに有名かな・・・)泉さんに人選を一任するというのは、相当に思い切った策ではないか(もちろん、泉さんある意味、甘くみられているからかもしれない)。ブロガーの囲い込み、ブロガーを利用した宣伝戦も、そろそろ無視できなくなってきたということなのだろう。人選を泉さんに一任したことで、民主党に対する世間の評価がプラスに働くことは、ほぼ間違いないからだ。言ってしまえば、たぶん、民主党による「話題づくり」だろう。
で、問題はその先だ。
話題づくりであろうと何であろうと、泉さんらは、前原代表と面と向かう機会を得た。せっかく、そういう機会を得たのだったら、やはり、「記者・泉あい」には、前原代表の話を「拝聴」するだけでなく、一本取って欲しいと思う。「一本」が何であるかは、そのときの会談内容によって違ってくるが、一番効果的なのは、これまでに行っていない発言、かつ大手メディアが引用せざるを得ない発言を引っ張り出すことだと思う。
しょうもない例えだが、仮に泉さんやその他ブロガーの質問を前に、窮地に追い込まれた前原代表がついに「実はワタシ、女だったんです」と語ったとする。そして、Grip Blogなどが一斉に報じたとしよう。すると、このニュースはテレビや新聞は無視できまい。そうなったとき、Grip Blogは本格的にブレイクするに違いない。韓国のオーマイニュースがブレイクしたのも、オーマイニュースによるネット発のスクープを他紙が追いかけた(追いかけざるを得なかった)ことがきっかけだった。
もちろん、そこまできばらなくても、前原代表が返答に詰まったとか、ノーコメント連発したとか、そんなものでも構わないと思う。要は「舐められない」ことを態度で示すことではないか。民主党が嫌がる質問も遠慮なく行い、民主党に手厳しいブロガーもきちんと集め、で、前原代表に「なんだなんだ、この懇談は。あんな嫌な質問ばかりぶつけてきて・・・事務方は何をやってんだ?」ぐらい思わせつつ、しかし、次回以降も懇談を継続せざるを得ないと思わせる。そういう存在を目指すべきだと思う。新しい報道機関設立を目指す以上は、やはり、そうであってほしいと思う。
私がブログを始めた今年初めのころ、もちろん今でもそうなのだが、ネット上には、「記者会見にブロガーが出席できないのはおかしい。マスコミが情報を独占するのはヘンだ」という意見がたくさんあった。確かに、閉鎖的な記者クラブ制度によって、マスコミの情報独占が継続している実態はおかしい。非常識もいいところだ。しかし、では、政治家の記者会見参加や政界取材を望んでいるブロガーが、実際にどの程度存在するかとなると、これはまた別の話である。ホワイトハウスの記者証がブロガーに与えられた、米大統領選では民主・ぎ共和両党がブロガーに大量の取材パスを与えた、それに引き換え日本は・・・という議論もあったが、これなどは「ブロガー」と「取材者(=取材したいという意志を持つ者)」を混在させた意見だったと思う。
マスコミ企業に属していなくても、1人で取材者たろうとし、実際、立派な仕事をしている人は日本でも大勢いたし、現に今も大勢いる。泉さんも、その隊列に加わったに過ぎない。
もっとも、一部の実力ある人やすでに著名になった人は別にして、そうしたフリー等の人たちは多くが、力関係では、出版社より弱い。発表する場を確保し続けるには、少々理不尽なことにも耐えなければならない、といった状況下にあると思う。一方、既存メディア企業の報道部門には、「大卒」「入社試験」「5年前後の下積み」「会社組織の古い体質」といったネックがあり、取材したいことを思うように取材する立場には、なかなか就くことができないものだ。
その環境は「ネット」が変えつつある。ブログを筆頭に、だれもが簡単に「メディア」を持つことができるようになった。出版社の下請けになるのでもなく、大手メディア企業内部の種々の壁に遮られることもなく、意志と熱意と若干のスキルによって、だれもが発表手段を持ち、「記者」になる道が開かれてきた。そして、ネットの双方向性を利用した新しい記者のスタイルも、Grip Blogによって形が見えてきた。だからこそ、問題は「これから」である。
勝手な憶測を言えば、目新しさはそろそろ賞味期限が近付いている。それを分かっているからこそ、泉あいさんは新メディア設立へと舵を切り始めたのだろうし、そうした熱意の塊を、民主党も(主眼が話題づくりだったとしても)無視できなかったのだと思う。
まあ、なんだな、よく知ってる仲だから呼び捨てにしちゃうけれど、泉、お前は本当にすごいな。民主党から、ぜひ一本取って来いよ。
ここ数日、札幌に滞在している。東京も寒くなってきたけれど、札幌はそれ以上に寒い。パソコンにアクセスもせず、そんなぼんやりした日々を過ごしているうち、Grip Blogで面白いことが起きたようだ。「緊急!「民主党 ブロガーと前原代表との懇談会」の出席者募集」が、それである。10月末日、民主党の前原代表がブロガーを招いて、党本部で懇談会を開催するという。「懇談」と称してはいるが、内容はオープンになることを前提にしており、実体は記者会見と同種のものだ。
同じ時期、自民党もブロガーを集めた懇談会第2弾を開催するようだ。これもGrip Blogに書かれている。その末尾でGrip Blog主宰の泉あいさんが、「民主党さんはどうすんのょ」と溜め息交じりに書いており、もしかしたら、民主党はその溜め息に突き動かされたのかもしれない。
双方の政党による「ブロガーの招き方」を見る限り、私は民主党に軍配を上げる。自民党が党側で人選を行ったのに対し、民主党側は、人選を泉あいさんに一任しているからだ。警備上の理由など種々の要因が働いた結果かもしれないが、名も無き(いや、すでに有名かな・・・)泉さんに人選を一任するというのは、相当に思い切った策ではないか(もちろん、泉さんある意味、甘くみられているからかもしれない)。ブロガーの囲い込み、ブロガーを利用した宣伝戦も、そろそろ無視できなくなってきたということなのだろう。人選を泉さんに一任したことで、民主党に対する世間の評価がプラスに働くことは、ほぼ間違いないからだ。言ってしまえば、たぶん、民主党による「話題づくり」だろう。
で、問題はその先だ。
話題づくりであろうと何であろうと、泉さんらは、前原代表と面と向かう機会を得た。せっかく、そういう機会を得たのだったら、やはり、「記者・泉あい」には、前原代表の話を「拝聴」するだけでなく、一本取って欲しいと思う。「一本」が何であるかは、そのときの会談内容によって違ってくるが、一番効果的なのは、これまでに行っていない発言、かつ大手メディアが引用せざるを得ない発言を引っ張り出すことだと思う。
しょうもない例えだが、仮に泉さんやその他ブロガーの質問を前に、窮地に追い込まれた前原代表がついに「実はワタシ、女だったんです」と語ったとする。そして、Grip Blogなどが一斉に報じたとしよう。すると、このニュースはテレビや新聞は無視できまい。そうなったとき、Grip Blogは本格的にブレイクするに違いない。韓国のオーマイニュースがブレイクしたのも、オーマイニュースによるネット発のスクープを他紙が追いかけた(追いかけざるを得なかった)ことがきっかけだった。
もちろん、そこまできばらなくても、前原代表が返答に詰まったとか、ノーコメント連発したとか、そんなものでも構わないと思う。要は「舐められない」ことを態度で示すことではないか。民主党が嫌がる質問も遠慮なく行い、民主党に手厳しいブロガーもきちんと集め、で、前原代表に「なんだなんだ、この懇談は。あんな嫌な質問ばかりぶつけてきて・・・事務方は何をやってんだ?」ぐらい思わせつつ、しかし、次回以降も懇談を継続せざるを得ないと思わせる。そういう存在を目指すべきだと思う。新しい報道機関設立を目指す以上は、やはり、そうであってほしいと思う。
私がブログを始めた今年初めのころ、もちろん今でもそうなのだが、ネット上には、「記者会見にブロガーが出席できないのはおかしい。マスコミが情報を独占するのはヘンだ」という意見がたくさんあった。確かに、閉鎖的な記者クラブ制度によって、マスコミの情報独占が継続している実態はおかしい。非常識もいいところだ。しかし、では、政治家の記者会見参加や政界取材を望んでいるブロガーが、実際にどの程度存在するかとなると、これはまた別の話である。ホワイトハウスの記者証がブロガーに与えられた、米大統領選では民主・ぎ共和両党がブロガーに大量の取材パスを与えた、それに引き換え日本は・・・という議論もあったが、これなどは「ブロガー」と「取材者(=取材したいという意志を持つ者)」を混在させた意見だったと思う。
マスコミ企業に属していなくても、1人で取材者たろうとし、実際、立派な仕事をしている人は日本でも大勢いたし、現に今も大勢いる。泉さんも、その隊列に加わったに過ぎない。
もっとも、一部の実力ある人やすでに著名になった人は別にして、そうしたフリー等の人たちは多くが、力関係では、出版社より弱い。発表する場を確保し続けるには、少々理不尽なことにも耐えなければならない、といった状況下にあると思う。一方、既存メディア企業の報道部門には、「大卒」「入社試験」「5年前後の下積み」「会社組織の古い体質」といったネックがあり、取材したいことを思うように取材する立場には、なかなか就くことができないものだ。
その環境は「ネット」が変えつつある。ブログを筆頭に、だれもが簡単に「メディア」を持つことができるようになった。出版社の下請けになるのでもなく、大手メディア企業内部の種々の壁に遮られることもなく、意志と熱意と若干のスキルによって、だれもが発表手段を持ち、「記者」になる道が開かれてきた。そして、ネットの双方向性を利用した新しい記者のスタイルも、Grip Blogによって形が見えてきた。だからこそ、問題は「これから」である。
勝手な憶測を言えば、目新しさはそろそろ賞味期限が近付いている。それを分かっているからこそ、泉あいさんは新メディア設立へと舵を切り始めたのだろうし、そうした熱意の塊を、民主党も(主眼が話題づくりだったとしても)無視できなかったのだと思う。
まあ、なんだな、よく知ってる仲だから呼び捨てにしちゃうけれど、泉、お前は本当にすごいな。民主党から、ぜひ一本取って来いよ。
by masayuki_100
| 2005-10-28 10:42
| ■ネット時代の報道