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ニュースの現場で考えること

「SNSは権力の複製装置と化すのか」

小泉首相の靖国参拝について、書こうと思っていた。

中国や韓国の反発があろうとなかろうと、参拝は政教分離を定めた日本国憲法に違反する行為ではないか、とか。「公約を守る男」を演出したいのかもしれないが、それなら在任中に国債発行残高を膨張させ、挙句、国債抑止の公約破りなんか大した問題ではない旨国会で語ったことはどうなのか、とか。そもそも首相には対米追従外交はあっても、東アジア・東南アジアを対象とした中長期の外交構想は無いのではないか、とか。

そんなことを記そうと思っていたが、先ほど、興味深い論文を読んだので、話はそちらへ。新潮社の月刊誌「フォーサイト」11月号の「SNSは権力の複製装置と化すのか」である。筆者はジャーナリストの阿部重夫氏だ。

阿部氏は先の総選挙結果について、「(首相に)尻尾を振るだけの手合いが多いのには驚かされる」と強調する。その上で、若手ベンチャー企業の経営者らが「YES!PROJECT」を立ち上げたことに言及し、そのプロジェクトはそもそも、立ち上がり時点から「誰が見ても小泉改革寄りだったことは明らか」と喝破している。その阿部氏が記事中で引用した同プロジェクトの呼びかけ文は、次のようなものだ。

(以下 同プロジェクトから引用)
「今まで、日本の政治は、支持基盤と癒着した守旧派を中心とした『抵抗勢力』により、遅々として進まず、閉塞感が漂っていた。しかし、今やっと、日本の政治が動き始めるような気配がある」「このタイミングでしっかりとした改革がなされないと、結局そのとばっちりを食うのは、僕ら若手である。今、僕らが立ち上がり、もっと積極的に発言し、選挙に行き、改革を進める人々をサポートすることにより、世の中を変えられると思う」(引用終わり)

「改革」や「守旧派」といったキーワードが、自民党の広報戦略と軌道を一にしたように映るのは、阿部氏だけではあるまい。

詳細は記事を読んでもらうしかないが、阿部氏は、mixiなどのSNSが政治への「貸し座敷」となったとし、組織された個人の集合体であるSNSは早晩、企業のセールスの道具となり、政治の道具として利用されるとの見通しを語っている。阿部氏はまた、政治の暗さや権力の怖さを知らないナイーブな若者たちが、そうしたネットを媒介として国会の外に集っていく現状を記し、国会の外に誕生した「小泉チルドレン」の群れこそが、国会内の小泉追従の議員よりも「恐るべき子供たち」なのだと書いている。

阿部氏は記事は、少々荒っぽい部分もある。しかし、ネット上のブログやSNSは技術的に新しいだけの話だ。技術の新しさは、言論の新しさを担保しないし、知恵にも資金にも長じた人々に上手く絡め取られてるのかもしれない。

そんな当たり前のことを、今更ながら気付かせてくれる。
by masayuki_100 | 2005-10-19 04:12 | ■2005 東京発■