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ニュースの現場で考えること

記者クラブ制度、崩壊の足音

昨日のシンポジウムで同席したフリージャーナリストの寺澤有氏によると、警察庁記者クラブの仮処分申し立て事件がいよいよ佳境に入ったそうだ。この「事件」の経緯は、寺澤氏らが主宰するブログに詳しいので、まずはそちらを読んでもらいたい。 → (1) (2)

既に仮処分の審尋は4回に及び、来月初旬には5回目があるという。仮処分は、申し立てのあったその日のうちに決定が出ることも珍しくないが、異常な長さである。東京地裁はこの事件に対し、合議体で臨んでいるそうだ。あの週刊文春差し止めの仮処分ですら、裁判官1人だったことを考えると、これも異例と言えるかもしれない。

寺澤氏によると、当初の「警察庁長官の記者会見に寺澤本人らが出席することを妨害しないでほしい」という仮処分申請の内容は、その後、国側(警察庁)と記者クラブ側(3社)の出方を見た上で、「そもそも記者室に常駐していることが違法。それならば、こちらは『警察庁長官が懇談を行う記者室や会議室で取材することを妨害するな』という命令を求める」という主張に変えたのだという。

なぜ、記者室があって、そこに記者が居ることが出来るのか。私の知る限り、その点についての法的根拠はない。だから、記者室や記者クラブの存在を法廷で論じる際、法的根拠を持ち出したら(持ち出されたら)、クラブ側は、常識的には非常に分が悪くなると思う。仮処分申請の行方がどうなるかは分からないが、たとえ地裁レベルのみであっても、クラブ側が敗れた場合、影響は凄まじいだろう。

記者クラブ問題については、私も過去何度もこのブログに書いてきた。

ネット新聞社の記者クラブ加盟 北海道小樽市(8月5日)
第2次記者クラブ訴訟の法廷にて(7月24日)
「毎日毎日この記者クラブに来て取材ができるのか」(6月21日)
第二次記者クラブ訴訟と私の陳述書(4月14日)

そうしたこととは別に、ほかにも種々の動きがあるし、あった。少し指を折れば、世の中の流れはどちらに向かっているか、如実にわかる。ライブドアは気象庁の記者クラブに加盟申請した、EUからの記者クラブ解放要請・圧力は過去も今も途切れていない、国境なき記者団による記者クラブへの手厳しい批判、政権を取ったら会見を自由化する・記者クラブを止める旨の主張をしていた岡田民主党代表・・・。おそらく現状の記者クラブ制度を擁護する勢力は、既存メディア側しかいない。

どうしようもなくなって、しぶしぶ改革に乗り出す前に、既存メディアはこの問題を真剣に考え、すばやく行動した方が良い。日本新聞協会の会長も間もなく変わる。協会の新しい指導者は、最優先事項としてこの問題を解決してほしいと心底思う(私の考える方向性は過去の記事に書いたので繰り返さない)。そうしないと、新聞・テレビへの信頼はますます落ちる。だいたい、記者クラブが現行のままで存続しないと、取材や報道にマイナスだなんて、プロの取材者としては実に情けない話ではないか。
by masayuki_100 | 2005-09-19 03:36 | ■2005 東京発■