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ニュースの現場で考えること

JALウェイズ機の金属片落下事故で思うこと

福岡空港を離陸したJALウエイズ機から金属片が多数落下した事故で、少し前(8月13日夜)、こんなニュースが流れた。以下の引用はヤフーニュースの「時事通信」。

金属片落下、「航空事故」該当せず=事故調も調査見送り-国土交通省
 福岡空港を離陸したJALウェイズ機の金属片落下事故で、国土交通省は13日、けが人や機体の損傷状況から航空法が定める「航空事故」には当たらないと判断した。事故に準じる「重大インシデント」にも該当しないとし、同省航空・鉄道事故調査委員会も調査官派遣を見送る。


朝日新聞の報道では、「・・・国交省によると、航空事故は墜落や衝突などの重大事象を指し、それに準ずる「重大インシデント」は航空法施行規則でエンジンの破損や火災などについて14のケースが定められている。 今回はエンジンが破損し、炎が噴き出しているが、施行規則が定める破損は「エンジンを部品が貫通した場合」に限っており、火災も生じていないため、同省は「インシデントにも該当しない」と説明。同省航空・鉄道事故調査委員会による原因調査はしない」ということらしい。

たぶん、事故調派遣の細かな規則に則っての判断なのだとは思う。でも、上空から高熱を帯びた約600片もの金属部品が落下したことを考えると、なぜ、重大事故ではないのか、と思わずにはいられない。福岡空港やその周辺は、私もよく知っているが、住宅の密集ぶりはすさまじい。着陸時に機内から外を見ていると、まさにその住宅地に飛行機が突っ込んでいく気がするし、下から見上げると、「こんな場所をよくあんな低空で飛ぶものだな」と感じてしまう。「金属片の直撃を受けたら、死亡していたかもしれない」と住民が語っているのをテレビニュースで見たが、けが人が出なかったのが不思議なくらいだ。

そういうことを考えると、事故の原因究明を警察だけに担わせて良いのかと思う。当たり前の話だが、警察はそもそも原因究明を任務の第一にしているわけではない。今回の事故で言えば、航空会社側に刑罰に問うべき過失が無かったかどうかをまず調べる立場にある。

読売新聞の報道などによると、国土交通省はこの6月、タービン破損の恐れがあるとして、航空各社に部品交換などの対策を指示し、日航側は2010年までに対応すると回答。これを国交省も了承していたという。つまり、事故の原因はすでに明らかになっているから、また改善の指示は既に出していたから、わざわざ事故調を派遣するまでも無い、ということなのだろうか。

最近は、地震も怖いが、飛行機も怖い。JR西日本の列車事故のときにも漠然と感じた、何とも言えない気分----安全だと信じられていた人工構造物や人為的なシステムの内側で、何かが少しずつ欠落して行く、そんなもやもやとした不安がまとわりついている。「効率最優先」社会の帰結なのかどうか、そのへんは判然としない。だけれども、秒単位の遅れも許されなかったJRや、数分の遅れもマイナスになる航空会社のありようを考えたり、航空会社や鉄道会社の労働組合のホームページをたどっていると、余計にそんな感じが募ってくる。
by masayuki_100 | 2005-08-15 02:39 | ■2005 東京発■