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ニュースの現場で考えること

「日本でオルタナティブ・メディアをどうつくるか」

まだ少し先の話だが、9月17日に東京の駿河台で、「第21回人権と報道を考えるシンポジウム 市民による 市民のためのメディアを」というイベントがあり、私もパネリストの1人として参加する。

当日はまず、かの韓国のネット新聞・「オーマイニュース」代表の呉連鎬(オ・ヨンホ)さんが講演する。後半のシンポジウムは「日本でオルタナティブ・メディアをどうつくるか」をテーマとし、パネリストには、<1>呉連鎬さん <2>フリージャーナリストとして警察腐敗・武富士・記者クラブ問題などの追及を続ける、私の友人でもある寺澤有さん <3>元毎日新聞編集委員で国際ニュースに強い永井浩さん(現在は神田外国語大学教授、かつネット新聞「日刊ベリタ」代表) <4>市民記者で同志社大学大学院留学生の李其珍(リ・ギジン)さん <5>私・高田 の5人が参加する予定だ。司会は、人権と報道・連絡会世話人で同志社大教授の浅野健一氏が務める。浅野氏は、月刊誌「論座」の9月号に「動き出す日本版オーマイニュース」という一文を寄せていて、新たなネットメディアの立ち上げにことのほか熱意を見せている。

時間のある方は私の過去のエントリ、例えば、「ネット(ブログ)は新聞を殺すのか」 「第二次記者クラブ訴訟と私の陳述書」 「マスコミを勧めない理由に対して」などを読んでもいただけたらうれしい。それらを見ていただければ分かる通り、私は日本の既存メディアがすべてダメだと思っているわけではない。

新聞社にしてもテレビ局にしても、いわゆる既存メディアは相当な問題点を抱えている。何かを変えようとしても組織がそれなりに大きくなりすぎて、事なかれ主義(=誰も責任を取りたがらない)がはびこり、変革に対する熱意が組織体から失われ、日々何となく過ごしていく風潮が年々強まっているように思う。1人1人の記者には、特に若い記者には、問題意識も豊富で取材も粘り強く、「すごいな」と感心させられる人がどの新聞社にもテレビ局にも居るけれど、それが組織全体の変化や斬新さにつながるかというと、それがどうもそうではない。個別の問題・具体的事例については、このブログでも再三書いてきたので、今回はもう書かないけれど、今の既存メディアにとって「そこが問題だ!」と指摘される事柄は、多くの部分が「組織のありよう」に帰結するのではないか、と感じている。



既存メディアの右代表みたいな私が、上掲のシンポジウムに顔を出し、しかも「日本でオルタナティブ・メディアをどうつくるか」というテーマの議論に加わることについては、少し違和感を抱く人もいるかもしれない。私自身も、「既存メディアに変わる新しいメディアがネット上で上手く運営できたら素晴らしいだろうな」と思う半面、「それは新しい媒体を創らない限り、できないことなのだろうか」という疑問が残っている。

ネット上では今、ブログをはじめ、各種のホームページなどを舞台にして、既存メディアを凌駕する言説や事実の探究が次々と登場している。ネット空間では文字数や放送時間といった「制約」が存在しないし、その制約が消えることで、ニュースの伝え方(書き方など)も変わっていく。そして、既存メディアが抱える「入社試験を受けて数年間の見習いを経てやっと本格的に取材活動ができる」といった、ある種の「壁」も、ネット上の発信者には無縁のことになる。

ただ、ブログもネットも基本的には情報伝達の「手段」である。それをしっかり認識しておかないと、どうも、「ネット時代のジャーナリズム論」みたいな話は、あっちへこっちへと議論が飛びすぎて、なかなか理解しにくいように感じている。月刊誌「論座」の取材を受けた際にも強調したし、その他種々の会合に呼ばれて話をするときも同じことを言っているのだけれど、要は、「何を書くか」「何を発信するか」「どのような立場で書くか」といった「内容の話」こそが、もっともっと語られなければならないように感じている。ブログが隆盛すれば、参加型ジャーナリズムが自然と広がり、そこで民主主義の新たな形が生まれる、、、といった議論もある。しかし、こうした主張は、私には、どうも「技術決定論」に傾きすぎているように思える。「市民記者」を軸に据えた韓国の「オーマイニュース」にしても、私の見る限り、それが韓国で成功した大きなポイントは、「市民記者」の存在そのものよりも(それが大きな要素であるこちには変わりは無いが)、オーマイニュースの編集者が担った「ニュースに対する価値判断」、いわば「立ち位置」が韓国内で好意的に受け入れられた結果ではないか、と思っている。

まあ、そんなことをつらつらと考えながら、シンポジウムまでに議論をどこに絞りたいか、絞るべきかを私なりにまとめてみたいと思う。

で、ここから先が本題なのですが、こういった「オルタナティブメディア」に関する意見等をお持ちの方は、ぜひ、「おれはこう思う」「私はこうよ」といった考えを聞かせてもらえないでしょうか。トラックバックやコメントを寄せてくれれば、とてもうれしいです(メールでも構いません。アドレスは左側のメニュー欄にあります)。当日は、それらの意見も参考にして、議論してみたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

長文、失礼しました。
by masayuki_100 | 2005-08-15 01:26 | ■ネット時代の報道