ブログトップ

ニュースの現場で考えること

「郵政」、、、しか無いの?

お盆休み中の日曜日とあって、東京の街中は実に静かだ。都心部ではセミがうるさいほど鳴いている。そう言えば、昨晩はコオロギがずっと鳴いていた。暑い暑いと言っているうちに、どんどん夏は終わりかけているのだ。

そんな中、今年の永田町は大変である。9月投票の総選挙は過去に例がなかったそうだから、盛夏に実質的な選挙戦に飛び込んだ経験も、政治家諸氏は持っていないのだろう。街頭演説の様子などを見ていると、大汗をかいていて、大変そうだ。おまけに今回は、公認段階で激しいバトルが続いているから、候補予定者にとっては告示前の今こそが、選挙に勝ち抜くための最大の勝負だと過去の選挙以上に実感しているはずだ。

で、その事実上の選挙戦では、「公認争い」「刺客作戦」に焦点が当たり、今のところ、「郵政民営化法案に反対した前議員がどうなるか」が最大のポイントのように報道されている。政策の争点としては「郵政」一本槍の感がある。確かに、自民党の分裂(と形容して良いかどうか自信がない)も、郵政民営化問題も、選挙の注目点であることは間違いない。だけれども、これだけ一方向にのみ焦点が当たっていくと、私などは「ちょっと待ってよ」と言いたくなる。だって、そうではないか?

ほんの少し前まで、国政の重要課題は他にも山のようにあって、激しい論争が続いていた。社会保障制度改革も、自衛隊のイラク派兵問題も、対中国・対韓国をめぐる外交問題もあった。北朝鮮をめぐる種々の問題も、教育問題もそう。それに何より、憲法改正問題も大きな政治課題である。こうした問題は、衆院解散の時点で、きれいさっぱり解決したわけではない。問題は積み残しのままで、そして、議論が後景に退いただけである。

「郵政」をきっかけに解散が行われたから、それを「郵政解散」と呼ぶのは、あながち間違ってはいない。しかし、9月11日に投票すれば、われわれ有権者は今後、最長で4年後まで投票の機会が無い。

その4年間のスケジュールをぼんやり考えると、憲法改正の発議も視野に入ってくるだろうし、社会保障制度の行き詰まりもさらに明瞭になってくるだろう。消費税率の引き上げを軸にした増税もいよいよ実行段階に入ってくるに違いない。米軍再編はいっそう具体化してくるだろうし、それに伴って日米安保体制はさらに変容していく可能性も大きい。それに、無駄な公共投資はやりませんと小泉首相は言うのに、新幹線の延伸は進むし、あちこちの空港建設が止まる気配は無い。規制緩和をどんどん進める一方で、それを「民がルールを守っているか」を事後的にチェックする仕組みは、どんどん置き去りにされている。。。。一つ一つ書き始めれば、「課題」は山のようにありすぎて、うんざりしてしまうほどだ。

選挙における「争点」は、ときの政権がまず国民に提示するものだ。国民の付託を受けた政治家・政権が、当然に有する権能だと思う。それはそれでよい。しかし、有権者からすれば、争点は「郵政」だけではない。人はそれぞれに困りごとや不安を抱えており、それは多種多様である。その複雑多様な観点に立って、有権者は物事を判断するのであり、政権が提示した争点を「はいそうですか」と受け入れるほど単純ではないと思う。

そういった多種多様な声を集約して政策に生かす行為が「政治」のはずだ。だとしたら、いくら「郵政解散」とはいえ、郵政問題しか語らない候補予定者は、どんなものか、と私は思う。政治家諸氏にだって得手不得手はあるにしても、種々のメディアの報道を見ても、政治家個人のホームページを見ても、どこも「郵政」ばかりで、ほかは「公認問題」が目立つ程度だ。こんなんでいいのかな? 例えば憲法問題についてはどう考えているのか、増税問題はどうなのか。そういったことについては、これだけネットが発達しているのだから、少なくとも候補予定者のホームページ上では存分に読んでみたいと思うのだが。


<追加>

解散に関するネット上の言論では、この西尾幹二さんの話が面白かった。
西尾幹二のインターネット日録  「小泉首相、ご乱心」
by masayuki_100 | 2005-08-14 14:00 | ■2005 東京発■