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ニュースの現場で考えること

■ だいたい似てるとは思うけれど。

この記事は「ジャーナリスト考現学」氏の「事実の報道がないと論評はできない 」に対し、私が「酔っ払い記者」の名で書き込んだものです。

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■「きょう逮捕へ」は最低条件、の中にこんな一文があります。

<言葉を返すようだが、Y記者(私のことです)さんの認識の方が「スーパー甘い」と思う。
権力濫用の事例として挙げられたいくつかの事件は、マスコミで報じられたものばかりだ。公表されただけましだと考えた方がいい。公表されたからこそ「権力濫用だ」と批判することもできる。公表されなければ、批判すらできないのだ。マスコミにも報じられず、警察が秘かに処理している事案は膨大なものだろう。そのことの方がもっと怖い>

★なんと言うか、私の例示はたまたま思いついたものを書いただけであり、言いたかったことは別の部分にあるのです。もし、「きょう逮捕へ」が権力監視の一環であり、警察の不当性を監視することに大いに寄与すると仮定するならば、逮捕前の取材で強制捜査の不当性が分かっているのでしょうから、「きょう不当逮捕へ」と書くべきでしょう。そこまで本腰を入れることができるなら、「きょう逮捕へ」が監視の意味を有することも有り得るでしょう。

★<公表されたからこそ「権力濫用だ」と批判することもできる>という部分も、少し感覚が違うな、と。例示が悪かったのかもしれませんが、例えばパキスタン人の男性がアルカイダの一味とされた事件の報道は、発表を鵜呑みにし、公安当局の言うがままに、それを大々的に報じただけなのです。読売や朝日は一面トップ、NHKも7時のニュースでトップでした(記憶違いがあったらごめんなさい)。その後、アルカイダと無関係と分かっても、それをきちんと報じ、警察の捜査を真っ向から批判・検証した報道は、私の知る限りありません。そうした取材活動すらできないメディアの状況下で、きょう逮捕へ」が権力監視につながると言われても、空しさが募るだけです。結局、あのアルカイダの一味か?という報道は、「日本も危ない」「テロが迫っている」みたいな世論づくりに大いに寄与したことでしょう。あるいは、警察予算増額の後押しに役立ったかもしれません。

★「きょう逮捕へ」よりも重要なことがあるのです。それは「検証」です。現実問題としても十分に可能です。強制捜査が適切だったかどうかをきちんと取材し、その是非を報じることではないでしょうか。これを本気で始めると、警察当局と相当な軋轢を生むでしょう。しかし、それこそが「監視」なのです。

★実際、いまの警察は違法捜査や不当捜査、法律違背の捜査が公判等で指摘されても、「適切だった」といったコメントを出して終わるだけです。どこでどう違背したのか、メディアはそれに気付いたのかどうか、気付いたならなぜ報じなかったのか、そこが問題です。従って、大きく扱うべきは「逮捕へ」「逮捕した」よりも、逮捕容疑と起訴事実は変遷していないか、調書は適法に巻かれたか、不当な強制捜査ならばその令状を発付した裁判官は何を考えていたのか等々、現実にスグやれることは山のようにあるのです。それをしないで、「きょう逮捕へ」を権力監視の作業にするといった抽象論を繰り返しても、メディアの現況は改善されないと思います。

★ただ誤解しないで欲しいのですが、大枠では<■「きょう逮捕へ」は最低条件>に書かれた内容は全く否定していません。匿名発表が多くなっている現在、逮捕を発表させる努力は必要です(確かに簡単には実現するはずありませんが)。ただ、警察はメディアの思考をよく研究していて、匿名で発表しては「ほほぉ、実名を知りたいの?じゃあ、教えてやっか。でもその代わり、いつも忠犬で居ろよな」という感じで絡めとってくるわけです。ここを突破するたった一つの方法は、当たり前ですが、警察内部に上から下まで情報源の網の目を張り巡らせるしかありません。

★番犬のつもりが、いつの間にか忠犬になり、そして座敷犬、果てはバター犬になっている。そういった現状を自覚しつつも「いや私はいつしか番犬としてカミング・アウトするのです」と繰り返し、そしていつの間にか時間だけが過ぎていく。。。今の警察取材の現状はそんな感じだと思いますが、いかがでしょうか。

★また有意義なお話ができればと思います。
■ だいたい似てるとは思うけれど。_c0010784_17453890.gif
by masayuki_100 | 2005-01-06 02:46 | |--逮捕予告は権力監視?