2005年 04月 08日
大量破壊兵器の根拠は酔っ払いのタワゴト?
大量破壊兵器「近年で最も失敗」 政治的影響は否定 米最終報告書。元原稿は産経新聞だ(以下引用、一部略)
【ワシントン=近藤豊和】二〇〇三年三月の米英軍によるイラク攻撃開始前に、米政府が得た大量破壊兵器に関する情報の精度について検証した独立委員会は三十一日、最終報告書をブッシュ大統領に提出し、機密事項分を除いて公表した。報告書は、「サダム・フセイン(元イラク大統領)の大量破壊兵器獲得の意図に執着し過ぎて、同兵器の存在を結論付ける重大な過ちを犯した。この情報収集の失敗は、近年の米国史の中で最も重大な損傷だ」などと厳しく批判した。(中略)
報告書は、中央情報局(CIA)が「イラクに秘密の大量破壊兵器の大量貯蔵がある」と結論付けた原因として、連邦捜査局(FBI)、国防情報局(DIA)、国家安全保障局(NSA)などが入手した情報との突き合わせで情報精度を十分に検証することを怠ったなどと指摘。具体的には、(1)「イラクが大量破壊兵器を搭載できる無人飛行機を製造した」との情報については、空軍専門家が明確な疑義を示したにもかかわらず、参考にされなかった(2)「イラクが移動可能な生物兵器製造施設を所有」との情報は、「カーブ・ボール」というコードネームのイラク人反政府活動家がドイツ情報筋にもたらしたものだったが、このイラク人はアルコール中毒の疑いがあり、CIAはこの情報筋に直接真偽を確認することはしていなかった-などを示唆している
扱いの程度には差があったが、このニュースは各メディアがそれぞれに報じている。要するに、イラク戦争の開戦根拠となった「大量破壊兵器」「生物兵器製造施設」はすべてが、虚構だったということだ。米政府独立委員会の結論そのものは「米国の情報収集・分析能力が劣っていた、もっと強化しなければならない」ということにあるのかもしれないが、しかし、こうまで明確な「虚構」を見せ付けられると、いったい、イラク戦争とは何なのか、と思ってしまう。
開戦前後、テロとの戦いだとか、日本にとっても安全保障の見地からも攻撃は当然だとか、いろいろな言説が行われた。しかし、開戦理由など、いつの時代のどの戦争も、こんなものだろうと思う。正義か不正義か、どっちが先に仕掛けたか等々の部分は別にして、とにかく、世の中には、戦争をやりたがる人々が存在するということだ。その人たちにとっては、理由は後からくっついてくる。米政権内部の「戦争をやりたかった人々」の実態については、すでに多くの著作やレポートが世に出ている。最近では、こんなものもあった。
「最初に戦争ありき」 米副大統領がとパウエル氏
(以下引用)
【ベルリン30日共同】パウエル前米国務長官は31日発売予定のドイツ週刊誌シュテルンとの会見で、イラク戦争について、チェイニー副大統領らブッシュ政権指導部が当初から戦争を始める方針だったと述べた。前長官は「とりわけ副大統領は最初から戦争をするつもりだったのは間違いない」と述べ、外交解決を信じていた前長官と見解が違っていたことを明らかにした。また、戦争への協力を各国に呼び掛けた際に「あまりに大声で叫びすぎた」とし、協力を取り付ける方法に問題があったと認めた。しかし、フセイン大統領を政権の座から追い落としたことは成功だったと強調した。
開戦の根拠とされたフセイン大統領の所業は、すべからく虚偽であり、捏造であり、事実誤認だったとする一方で、なおも「フセイン追い落としは成功だった」、すなわち、正しかったと総括する。その論理はつまるところ、開戦理由の根拠はどうであれ、気に入らない政権を武力攻撃することは正しい、という内容でしかない。これをふつう、傲慢という。
それでも米軍などはイラク攻撃を今なお続け、正当化する。こんな馬鹿げた話があるだろうか。しかも、そこに日本国はがっちりと入り込んでいるのだ。日本の関与は、サマワへの自衛隊派遣といったレベルだけの話ではない。沖縄タイムスの特集や琉球新報のこの記事、シバレイさんのブログなどを見ると良く分かるとおり、沖縄(=日本)は米軍の対イラク戦争のまさに出撃拠点なのであって、日本は思いやり予算も含め、あらゆる面でその米軍をサポートしている。泥縄式の理屈でサマワへ派遣された隊員たちも、「大量破壊兵器はウソでした」と聞いて、なおかつ今も、「復興支援」に国際的な大義を見出せるのだろうかと思う。
米国はしかも、いっこうにイラク戦争から学んでいない。最近、共同電によれば、ライス長官はこう語ったそうだ。
北朝鮮核に手加減禁物 米長官、情報不足やむなし
【ワシントン5日共同】ライス米国務長官は5日、北朝鮮やイランの核問題について、情報不足から「手ぬるい反応にならないよう注意しなければならない」と述べ、北朝鮮などへの警戒を強めるよう訴えた。AP通信とのインタビューで語った。
イラク戦争の大義だった大量破壊兵器が見つからなかったことなど情報機関の「致命的な誤り」を指摘した最終報告書を独立調査委員会が先月末に提出したことに関連し、フセイン元大統領が隠そうとしていたのだから「非常に難しいケースだった」と弁明、同戦争をあらためて正当化した。その上で北朝鮮やイランの核問題について「特に大量破壊兵器を秘密裏に求めるような不透明な社会が対象の時は、情報の(確度に関する)保証はない」と語った。
結局、米国こそが正しい、武力的に強いものだけが正しい、ということか。
仕事が忙しく、しばらく更新をさぼっていたが、最近の注目ニュースは、やはり、これ。【ワシントン=近藤豊和】二〇〇三年三月の米英軍によるイラク攻撃開始前に、米政府が得た大量破壊兵器に関する情報の精度について検証した独立委員会は三十一日、最終報告書をブッシュ大統領に提出し、機密事項分を除いて公表した。報告書は、「サダム・フセイン(元イラク大統領)の大量破壊兵器獲得の意図に執着し過ぎて、同兵器の存在を結論付ける重大な過ちを犯した。この情報収集の失敗は、近年の米国史の中で最も重大な損傷だ」などと厳しく批判した。(中略)
報告書は、中央情報局(CIA)が「イラクに秘密の大量破壊兵器の大量貯蔵がある」と結論付けた原因として、連邦捜査局(FBI)、国防情報局(DIA)、国家安全保障局(NSA)などが入手した情報との突き合わせで情報精度を十分に検証することを怠ったなどと指摘。具体的には、(1)「イラクが大量破壊兵器を搭載できる無人飛行機を製造した」との情報については、空軍専門家が明確な疑義を示したにもかかわらず、参考にされなかった(2)「イラクが移動可能な生物兵器製造施設を所有」との情報は、「カーブ・ボール」というコードネームのイラク人反政府活動家がドイツ情報筋にもたらしたものだったが、このイラク人はアルコール中毒の疑いがあり、CIAはこの情報筋に直接真偽を確認することはしていなかった-などを示唆している
扱いの程度には差があったが、このニュースは各メディアがそれぞれに報じている。要するに、イラク戦争の開戦根拠となった「大量破壊兵器」「生物兵器製造施設」はすべてが、虚構だったということだ。米政府独立委員会の結論そのものは「米国の情報収集・分析能力が劣っていた、もっと強化しなければならない」ということにあるのかもしれないが、しかし、こうまで明確な「虚構」を見せ付けられると、いったい、イラク戦争とは何なのか、と思ってしまう。
開戦前後、テロとの戦いだとか、日本にとっても安全保障の見地からも攻撃は当然だとか、いろいろな言説が行われた。しかし、開戦理由など、いつの時代のどの戦争も、こんなものだろうと思う。正義か不正義か、どっちが先に仕掛けたか等々の部分は別にして、とにかく、世の中には、戦争をやりたがる人々が存在するということだ。その人たちにとっては、理由は後からくっついてくる。米政権内部の「戦争をやりたかった人々」の実態については、すでに多くの著作やレポートが世に出ている。最近では、こんなものもあった。
「最初に戦争ありき」 米副大統領がとパウエル氏
(以下引用)
【ベルリン30日共同】パウエル前米国務長官は31日発売予定のドイツ週刊誌シュテルンとの会見で、イラク戦争について、チェイニー副大統領らブッシュ政権指導部が当初から戦争を始める方針だったと述べた。前長官は「とりわけ副大統領は最初から戦争をするつもりだったのは間違いない」と述べ、外交解決を信じていた前長官と見解が違っていたことを明らかにした。また、戦争への協力を各国に呼び掛けた際に「あまりに大声で叫びすぎた」とし、協力を取り付ける方法に問題があったと認めた。しかし、フセイン大統領を政権の座から追い落としたことは成功だったと強調した。
開戦の根拠とされたフセイン大統領の所業は、すべからく虚偽であり、捏造であり、事実誤認だったとする一方で、なおも「フセイン追い落としは成功だった」、すなわち、正しかったと総括する。その論理はつまるところ、開戦理由の根拠はどうであれ、気に入らない政権を武力攻撃することは正しい、という内容でしかない。これをふつう、傲慢という。
それでも米軍などはイラク攻撃を今なお続け、正当化する。こんな馬鹿げた話があるだろうか。しかも、そこに日本国はがっちりと入り込んでいるのだ。日本の関与は、サマワへの自衛隊派遣といったレベルだけの話ではない。沖縄タイムスの特集や琉球新報のこの記事、シバレイさんのブログなどを見ると良く分かるとおり、沖縄(=日本)は米軍の対イラク戦争のまさに出撃拠点なのであって、日本は思いやり予算も含め、あらゆる面でその米軍をサポートしている。泥縄式の理屈でサマワへ派遣された隊員たちも、「大量破壊兵器はウソでした」と聞いて、なおかつ今も、「復興支援」に国際的な大義を見出せるのだろうかと思う。
米国はしかも、いっこうにイラク戦争から学んでいない。最近、共同電によれば、ライス長官はこう語ったそうだ。
北朝鮮核に手加減禁物 米長官、情報不足やむなし
【ワシントン5日共同】ライス米国務長官は5日、北朝鮮やイランの核問題について、情報不足から「手ぬるい反応にならないよう注意しなければならない」と述べ、北朝鮮などへの警戒を強めるよう訴えた。AP通信とのインタビューで語った。
イラク戦争の大義だった大量破壊兵器が見つからなかったことなど情報機関の「致命的な誤り」を指摘した最終報告書を独立調査委員会が先月末に提出したことに関連し、フセイン元大統領が隠そうとしていたのだから「非常に難しいケースだった」と弁明、同戦争をあらためて正当化した。その上で北朝鮮やイランの核問題について「特に大量破壊兵器を秘密裏に求めるような不透明な社会が対象の時は、情報の(確度に関する)保証はない」と語った。
結局、米国こそが正しい、武力的に強いものだけが正しい、ということか。

by masayuki_100
| 2005-04-08 02:13
| |--戦争と平和