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ニュースの現場で考えること

高知新聞 タブーだった同和利権に切り込む

「黒い陽炎-県闇融資究明の記録」 高知新聞編集局取材班

「同和」に怯え、ずるずると巨額の資金を貸し込んだ高知県庁。いったい、何を恐れたのか? 行政の「裁量」の下で温存された「利権」。。。この本は本当にすごい。高知新聞は警察裏金問題にいち早く取り組んだことで知られているが、その前には、こんなすばらしい仕事をやってのた。タブーだった「同和利権」に、ここまで真正面から切り込んだ新聞があっただろうか。

なかなか手に入りにくいが、ぜひ、読んでもらいたいと思う。

<以下、高知新聞HPの書籍紹介文です>

高知県が特定の協業組合に巨額の公金を闇融資していたという、県政史上かつてない一大汚職事件。この事実を高知新聞が特報、それに基づき県議会が百条委を設置、調査。高知新聞の報道と連動して実体が解明されていく。ついには、高知県警と高知地検が捜査に乗り出し、元県幹部や元副知事、業者らが背任や詐欺容疑で逮捕、起訴され、裁判を受けることとなった。
 高知新聞で三十回にわたって連載された「黒い陽炎(かげろう)―県やみ融資究明の記録―」を基に大幅に加筆し、一冊の本にまとめた本書は、何が「闇」の体質を生み出したのかを問いかけている。
 闇融資問題の調査報道と企画連載「黒い陽炎―県やみ融資究明の記録―」は、日本新聞協会の新聞協会賞を受賞。





平成九年の春、一つの風評が県庁から漏れ伝わってきた。「何かとんでもないことが庁内で起きているらしいぞ」 風評の元をたぐると県庁内のある末端職員に行き着いた。この職員は、悩み抜いた末に外部の知人にこうほのめかしていた。「僕は・・・。怖い」 何が怖いのか、知人が問いただした。しかし答えない。何度か問い掛け、やっと「融資」「縫製工場」「南国市」などのキーワードを聞き出していた。のちに取材班を構成する記者の一人が、この知人から直接これらの話を入手する。 これが、長い長い取材活動の発端だった。

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 橋本県政下で何かが起きているに違いない。自然発生的にできた取材班(当時はまだ班になっていなかったが、便宜上そう記す)がキーワードを追い始めた。 該当する工場は間もなく見つかった。 高知市の東隣、南国市の十市(とおち)パークタウンに隣接する縫製業の協業組合「モード・アバンセ」本社工場。中小企業高度化事業で約十四億四千万円の無利子融資を受け、最新悦の縫製工場として八年夏に完成していた。

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 実は八年の八月十九日付朝刊で、高知新聞は「南国市に最先端アパレルセンター」「加工賃受注から脱却し、自社ブランドを開発」「高知発のファッション基地に」という表現でこの工場の稼働を報じていた。その取材をした女性記者は、原稿を書きながら妙な違和感を感じていた。  なぜか、と自問自答したこの記者は原因がアンバランスさにあると気付く。最先端の機械群と、工場内のがらんとした寂しさ。つまり機械に比して人が少ない。工場の稼働率も異様に低いように見えた。  しかも女性従業員はこんなことを訴えていた。 「雇用の際の約束と実態が全然違う。でたらめな会社やき」  それらの話が取材班に伝わった。疑惑は徐々に膨らんでいった。

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 ちょうどそのころ、別の線から取材班にもう一つの情報が入る。 内容は、〈高知市浦戸の観光業者「土佐闘犬センター」へ県が秘密裏に億単位の公金を融通した。公金投入は八年度に決め、九年度の当初予算に融資分を潜り込ませていた〉。 根も葉もない話にしては具体性があった。 話の出所をたぐると、九年三月まで高知県の総務部長を務めていた自治官僚の清田康之氏に行き着いた。氏は当時四十一歳で、国土庁の過疎対策室長。高知県庁時代にこの融資に抵抗、その憤りから知人に融資の存在をほのめかしていた。 ある程度の事実関係がつかめたら清田氏に事の経緯を聞いてみたい。そう考えていた矢先、ショッキングな出来事が起きる。
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by masayuki_100 | 2005-03-15 02:56 | ■本