2009年 01月 07日
木をみて森もみる(42) 創刊と革命と激動と。
新しい年をみなさんは、どのように迎えただろうか。
私はロンドンの知人宅に赴き、数人で料理を囲み、年越しのテムズ川の花火大会はテレビで見た。そして、再び料理をつつきながら、朝まで話を続けた。「先行きの見えない不況はどうなるのだろう」とか、「新聞はどう変わるべきか」とか、そんなとりとめもない話である。
その後の数日間は、自宅で読書三昧だった。サスペンスから国際政治の専門書まで乱読である。その中に「創刊」( The Making of The Independent)という古い本があった。英国の高級紙「インディペンデント」の創刊までをドキュメント風に綴った1冊である。
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インディペンデントが創刊されたのは、1986年10月のことだ。ちょうど私が今の会社で仕事を始めた年である。万事に保守的な英国においては、新聞界も例外ではなく、新しい高級紙が英国に登場したのは131年ぶりだったという。
創刊から4年後、インディペンデントの発行部数は「タイムズ」や「ガーディアン」と並び、約40万部に達した。現在は30万部以下まで部数を落としているとはいえ、主要日刊紙の地位は揺らいでいない。
創業の中心だったアンドレア・スミス氏は、「デーリー・テレグラフ」紙の経済編集長だった1985年初め、新しい新聞の創刊を考え始めた。実際の発刊のわずか1年余り前のことである。当時、テレグラフは不調で、日に日に部数を落とすような状態だった。テレグラフの再興策を会社側に提案し続けたスミス氏は、経営と紙面の双方にはびこる「新聞業界の保守主義」に絶望を深め、新たな新聞に賭けることにした。
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by masayuki_100
| 2009-01-07 09:09
| 木をみて森もみる