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ニュースの現場で考えること

少し前、日本ジャーナリスト会議(JCJ)主催のジャーナリスト講座で、主に文章講座を受け持った。あれやこれやと、例によってまとまりのない話だったけれども、若い方を中心に30人ほどが熱心に耳を傾けてくれた。そのときの様子は、東京都市大教授の小俣一平さんが「絶好調!T田節」と題して、自身のブログに書かれている(なぜか、私はT田となっているが。笑)。

で、そんなこんなで2度目の文章講座を開くことになった。前回もそうだったけれど、参加者には年配の、人生の先達である方々も少なくなかった。私ごときが何かの「指導」をするなど、非常におこがましいし、気恥ずかしくもある。一回目と内容がだぶる可能性もある。そうした諸々の事柄を差し引いて、それでも「聞いてみたい」という方がおられるなら、ぜひ、ゆっくりと、あれこれの話を交わしてみたいと思う。

私の他に、別日程では、沖縄タイムスのベテラン記者、与那嶺さんも登壇される。こちらは中身の濃い講義になることは間違いない。

下記はJCJの担当の方が作成された案内文である。

・・・・・・・・・・(以下、引用)・・・・・・・・・・・・・


10月のジャーナリスト講座の好評を受けまして、第二期のJCJジャーナリスト講座を開くことにな
りました。以下のようにプログラムを決めました。

新聞・放送分野を目指す方々、またフリーとしてこれから頑張ろうとお考えの方々、皆様のお役にたてればと思っています。ふるってご参加ください。

《新聞・放送分野を目指す人のために……第Ⅱ期JCJジャーナリスト講座》

11月12日(土)午後6時半から9時 
京橋区民館・第1号室で(東京都中央区京橋2-6-7 地下鉄銀座線・京橋駅下車6番出口から徒歩2分 都営地下鉄浅草線宝町駅A5・A6番出口徒歩2分))

「沖縄・普天間基地と日米安保を考える」
  講師・沖縄タイムス東京支社編集部長・与那原良彦さん

 沖縄タイムスで長く政治・経済部門を担当してきた与那原記者は歴代の沖縄県知事の取材や基地問題に取り組んできました。東京支社では政府と沖縄県の動きを両方にらみながら、沖縄の明日を考える日々です。米軍・普天間基地の移転問題の本質は何か、地元の人たちはどのように考えているか。そして沖縄タイムスの報道の視点は。地方紙の役割や中央メディアとのギャップ、記者の苦労などについて、体験談も含めてお話しいただきます。 

11月19日(土)午後1時半から5時  
築地社会教育会館・第1洋室で(東京都中央区築地4-15-1 地下鉄日比谷線・東銀座駅6番出口から徒歩5分)

元北海道新聞記者・高田昌幸さんの文章講座①
*事前に作文を提出。締め切りは11月9日。厳守。それ以後はいかなる理由があっても、添削しない。作文の課題は後日、連絡。

講座前半・添削した作文をもとに実践講義。
同後半・会場で受講生が二人一組にいなってもらい、互いに簡単な取材。そのうえで300字の作文を書く。

11月20日(日)午後6時半から9時
築地社会教育会館・第3洋室(同上)

元北海道新聞記者・高田昌幸さんの文章講座②
19日に書いた300字の作文を返却。講評。

資料代 12日1000円、19日1500円、20日1500円 (注;19日と20日は講師旅費・添削が加わるため1500円です。3日間のうち、いずれか1日だけの参加もOKです)

定員 40人(予約が必要・先着順)
申し込みはメールかファクスで日本ジャーナリスト会議事務局へ(新聞部会から返信します) 27日から受け付けます。
メール jcj@tky.3web.ne.jp  ファクス  03・3291・6478

主催・JCJ新聞部会  
問い合わせ・JCJ事務局(電話03・3291・6475)
JCJのホームページ http://www.jcj.gr.jp
by masayuki_100 | 2011-10-26 20:24 | ■2011年7月~ | Comments(0)

少し先のことですが、東京で調査報道に関するシンポジウムが開催されます。私も少し話をさせて頂くことになっています。以下はそのご案内です。

<シンポジウム>
調査報道をどう進めていくか


「3・11」の大震災に伴う福島第一原発の災害をめぐっては、「大本営発表 ばかりの報道だった」などの激しい大メディア批判が沸き起こった。その一方 で、「ジャーナリズム復権のためには、発表報道を克服して調査報道を重視すべ きだ」との認識や動きも確実に広がっている。
  調査報道の現状はどうなっていているのか。課題は何か。可能性をどう広げ、 豊かにしていくか。調査報道にかかわってきたジャーナリストや研究者たちが 縦横に議論する!

<基調報告 調査報道を阻むもの〜当局との二人三脚をどう断ち切るか>
高田昌幸(ジャーナリスト、元北海道新聞報道本部次長)

<シンポジウム 調査報道をどう進めていくか〜課題と可能性を探る>
依光隆明 (朝日新聞特別報道部長、元高知新聞社会部長)
太田昌克 (共同通信社編集委員)
小俣一平 (東京都市大学教授、元NHK社会部担当部長)
田島泰彦 (上智大学教授)
     コーディネーター/橋場義之(上智大学教授)

と き:12月3日(土)13:30〜16:30(開場13:00)
ところ:上智大学 2号館 508 教室 (JR、地下鉄四ッ谷駅下車/千代田区紀尾井町7−1)
資料代:500円

主 催:調査報道シンポジウム実行委員会
   連絡先: FAX 03−3238−3628(上智大学・田島研究室気付)
         chosahoudou@gmail.com

協力
 *花伝社(『調査報道がジャーナリズムを変える』本年5月出版)
 *旬報社(『権力vs調査報道』本年10月出版)
 *平凡社(『新聞・テレビは信頼を取り戻せるか: 調査報道を考える』本年11月出版予定)

※上記のうち、私は「権力vs調査報道」の共編著者であるほか、「調査報道がジャーナリズムを変える」の第三章を執筆しています。
by masayuki_100 | 2011-10-25 17:53 | ■2011年7月~ | Comments(0)

北海道警察の元警部、稲葉圭昭氏の著書「恥さらし」(講談社)が売れているようだ。大型書店のオンラインで調べてもらったら、当然ではあるが、北海道での売り上げが群を抜いている。しかし、稲葉氏が告発した内容は、おそらく、北海道にとどまるものではあるまい。

稲葉氏が逮捕された2002年当時、この事件は「稲葉事件」と呼ばれた。これはもう、正しい呼び方とは言えない。

「恥さらし」によると、書北海道警察と函館税関は2000年、暴力団関係者と事前に謀議を重ねた上、覚醒剤130キロと大麻2トンを組織として「密輸」した。黙認ではなく、「入れさせた」が正しい。覚醒剤といった薬物を何度かに分けて、大量に密輸させる代わりに、最後は拳銃100丁だか数百丁だかを入れさせる。その拳銃を摘発する、という仕掛けだった。拳銃を摘発する代わりに、大量の薬物の密輸を認める。これが当時の道警のありようだった。むろん、こんな大がかりなことを稲葉氏一人で遂行できるはずはない。

しかし、覚醒剤と大麻を国内に流入させたあと、計画は頓挫した。道警・税関が組んだ先の暴力団関係者とその後、連絡が取れなくなり、拳銃を入れさせるところまで進まなかったからだ。

この事件の舞台となった小樽は、北海道新聞記者時代の私の初任地である。覚醒剤と大麻が入った石狩湾新港も近所のようなものだった。駆け出し時代は「海事担当」という役割を担ったこともあり、函館税関小樽支署へもよく出かけた。当時の建物は取り壊されてしまったが、建物は変わっても消せないものはある。絶対にある。

「覚醒剤130キロ、大麻2トン」の記事は、北海道新聞の記事になった。2005年3月のことだ。裏金問題がまだ尾を引いているときで、社会面に大きな記事となった。取材を担当したのは、当時のサツ回り、すなわち、裏金問題を追及した記者たちである。しかし、その後、北海道新聞の上層部は、あろうことか、道警側に屈するような形で、「あの記事は取材が不足してました」という趣旨のお詫び社告を出す。北海道警察に情報開示請求したら、文書不存在との結果だった、だから、あの記事は根拠がない、といったことも理由の一つだった。

そもそも、覚醒剤を密輸しましたなんて文書が残っているとは思えないし、仮にあったとしても、そんな事柄を情報開示請求で取得できると半ば本気で思っていたとしたら、その方が信じがたい。まあ、しかし、いろんなことがあって、北海道新聞は道警に「ひれ伏し」、この問題は北海道新聞にとってタブーになった。タブーになった以上、だれも触ることはあるまい。だから、稲葉氏のからんだこの問題が、北海道新聞の紙面を飾ることは、新聞社自身の調査報道の結果としては、有り得ないだろうと思う。タブーとはそういうものだ。そして、タブーを抱えた組織は内にこもり、打たれ弱くなる。

稲葉氏の絡んだ問題とは何か。

それについては、あす、10月21日の夜、ニコニコ動画の生中継で放送する。警察裏金問題を実名告発した北海道警察の元釧路方面本部長、原田宏二氏が出演する。原田氏は道警時代、稲葉氏の上司だった時期がある。さらに、警察問題に詳しいジャーナリストの青木理氏も札幌へ足を運んでくれる。番組には私も出演する予定だ。稲葉氏には、私も何時間にも及ぶインタビューを行っており、その一端を紹介できるかもしれない。

稲葉氏のからんだ事件については、「市民の目フォーラム 北海道」のホームページにも詳しく出ている。番組が始まるまでの間、つらつら眺めていると参考になるかもしれない。
by masayuki_100 | 2011-10-20 11:30 | ■2011年7月~ | Comments(0)

若手写真家の登竜門になっている「上野彦馬賞」。インタビュー集「希望」(旬報社)のグラビア写真「家族」が、その2011年度の日本写真芸術学会奨励賞に選ばれた。

撮影者は、東京のフリーカメラマン江平龍宣さん。賞の対象となった「家族」の写真を最初に見たとき、大げさでなく、見入ってしまった。幾枚かのモノクロ写真に映った「家族」たちが、こう、何かを語りかけてくるのである。彼らは何を語っているのか。それはおそらく、見る人によって違う。作品は江平さんのホームページで見ることが出来る。

昨晩は久しぶりに、その江平さんと歓談した。昨日は東京・神保町で、日本ジャーナリスト会議(JCJ)主催の「ジャーナリスト講座」があって、文章講座などを担当した。受講者には若い学生さんたちも多く、当然のように「夜の部」へ場所を変えたところ、江平さんから「久しぶりです」と電話があり、彼も合流したのである。

江平さんは雑誌「世界」(岩波書店)のグラビア写真公募に採用され、組写真「Bharat」が世界の巻頭ページを飾ったことがある。

江平さんの話では、ある日、西武線に乗っていると、隣に座った年輩の男性が、当該の「世界」を開いていた。それ、撮影したのは僕なんです、と話しかけて、しばらくの間、会話が弾んだ。聞くと、年配の男性はJCJの会員だという。それで、日本ジャーナリスト会議という団体があることを知って、2009年末、東京・市ヶ谷で開かれたJCJ主催の講演会に顔を出した。その講演会には私も顔を出していて、昨晩と同じような「夜の部」で、初めて彼と言葉を交わした。

江平さんは、物静かである。しかし、市ヶ谷の夜の部で見せてもらった写真には、強烈なメッセージがあった。わあわあと喚くような声が飛び交う居酒屋で、しばし、彼が持ち歩いていた写真の数々に見入ってしまった。だから、その後は、なんの迷いもなく、彼にお願いしたのだと思う。いま、「希望」というインタビュー集を作ろうと思っています、グラビアページも作りたいんです、協力してもらえませんか、と。

市ヶ谷の講演会の日、めんどうくさいから、足を運ぶのはパスしようかなと思い、そのまま本当にパスしていたら、「希望」に江平さんの「家族」が載ることはなかった。江平さんの乗った西武線の電車が1本前後していたら、江平さんが「希望」にかかわることはなかった。

「希望」は、文章を担当した取材者が20人もいる。私はその1人に過ぎないし、ほかの多くの取材者の方々も何らかの縁があって、そこに参画した。少々長くなったけれど、縁とは不思議なものだ。つくづく、そう思う。そして、たぶん、世の中の多くはそうした縁の連鎖で動いている。昨晩の神保町の講座や「夜の部」からも、きっと、いつか、何かが生まれる。
by masayuki_100 | 2011-10-16 10:29 | ■2011年7月~ | Comments(0)

インタビュー集「希望」(旬報社)について、東京大学大学院教授の本田由起さんが、すてきな書評を書いて下さった。「朝日中学生ウイークリー」に掲載されている。(→記事PDFはこちら) 本田さんは「薄っぺらいキャッチフレーズではない、苦境や絶え間ない日常によって鍛えられた『希望』。それに触れれば、簡単に絶望などできない、してはならないということを、強く実感してもらえるだろうと思います」と書かれている。

何かをきちんと伝えるためには、一定程度の分量は必要だ。短い文章や単語、キャッチフレーズだけでは、伝えることができないものがある。それは、たくさんある。社会も人それぞれの人生も複雑になった今、それは当たり前のことだ。「希望」はおそらく、最近では珍しく、分厚い。活字が多い。しかし、分厚さにはそれ相応の意味があるし、分厚いぶん、インタビューに応じてくれた方々の種々の思いがぎっしりと詰まっている。

自分の携わった本が、どのような読まれ方をしているか、それはやはり気になる。とくに、「希望」は思い入れが強いだけに、今回の書評はうれしかった。中学生でも十分に理解できる内容だし、中学生や高校生にこそ、読んでもらいたいとも感じている。

「希望」(旬報社)のアマゾンのページはこちら。書店の店頭でも、ぜひ手にとって下さい。
by masayuki_100 | 2011-10-13 08:14 | ■2011年7月~ | Comments(0)