ブログトップ

ニュースの現場で考えること

スタッズ・ターケルがシカゴの自宅で死去したのは11月1日だった。96歳だったという。作家であり、ラジオの脚本家・パーソナリティーでもあった。何よりも彼を有名にしたのは、市井の人々の膨大なインタビューを集めた「良い戦争」「アメリカの分裂」などの著作である。

私は学生時代からターケルのファンで、とくに「仕事!」を愛読していた。邦訳は2段組で700ページ超もあり、115職種の133人が登場する。逝去を伝えるBBCがターケルを「Studs Terkel was the spokesman for millions of Americans」と表現したのも道理だ。名も無き人々の前にテープレコーダーを置き、ひたすら話を聞き、言葉を引き出す。それがターケルだ。

         ◆   ◆   ◆

ターケルの仕事とは比べるべくもないが、10年ほど前、私が言い出しっぺになって、同僚と一緒に市井の人々のインタビューを北海道新聞に長期連載したことがある。要は「仕事!」のまねである。方言は方言のままで、口癖は口癖のままで。人の話しぶりは、まさに、生き様を反映しているからだ。


続きはこちらへ
by masayuki_100 | 2008-11-27 19:31 | 木をみて森もみる | Comments(1)

脳内出血を起こした出産間近の女性(36)が、8つの医療機関に受け入れを断られ、赤ちゃんを出産後に死亡するという「事件」が、東京で起きた。1カ月ほど前のことだが、外国の通信社も東京発で配信し、英国の一部新聞も報道したから、ご記憶の方も多いと思う。

このとき、最初に受け入れを断り、最終的に女性が入院したのが、都立墨東病院だった。拒否は「土曜日で当直産科医が1人しかおらず、対応が困難」だったから、という。

          ◆   ◆   ◆

かつて東京の下町には、台東産院、築地産院、墨田産院、荒川産院という4つの都立産院があった。いずれも1980年代から順次統廃合され、現在はどれも残っていない。このうち、築地産院の統合先が今回問題となった墨東病院だ。そして、学生時代の一時期、私がアルバイトで通ったのが台東産院である。ピーク時には、年間1000人もの赤ちゃんが生まれたという病院だった。


続きはこちらへどうぞ
by masayuki_100 | 2008-11-25 11:55 | 木をみて森もみる | Comments(0)

ロンドン在住の作家・黒木亮さん(51)は、大手邦銀をはじめ総合商社や証券会社などで国際プロジェクト金融を手掛け、アフリカから中東、アジアなどを縦横に駆け巡った経験を持つ。それに裏打ちされた「巨大投資銀行」「エネルギー」といった作品は、多くの読者を魅了してきた。

黒木さんの仕事場は、ロンドン北部にある。作家らしく部屋は資料や本であふれ、訪れた人は、どこに腰を下ろそうかと迷うに違いない。

◆ ◆ ◆

私と同世代の方は、マラソンの瀬古利彦選手を覚えていると思う。早稲田大学在学中に華々しくデビューし、五輪にも2度出場した。その瀬古選手と同じ時期に、早大競走部に在籍したのが、金山雅之選手(黒木さんの本名)である。

金山選手は箱根駅伝も走った。「花の2区」を走った瀬古選手からタスキを受け取って3区を走り、4区へタスキを引き継ぐ。翌年は8区を走った。エンジ色のランニング・シャツに、白字で大きな「W」。それが、若き日の黒木さんだった。


続きはこちらへどうぞ
by masayuki_100 | 2008-11-25 11:39 | 木をみて森もみる | Comments(0)

麻生太郎首相の「夜の豪遊」が話題になっている。麻生首相は、高級レストランやホテルのバーなどを毎夜のように飲み食べ歩く。そんな姿が「庶民の感覚」から外れているのではないか、という指摘だ。

自分のカネをどう使おうと、まったくの自由だ。真っ当な政治を行うなら、どこで何を食べようと、とやかく言う筋合いでもあるまい。ただし、首相ともなれば、問答に、ある程度の品格も必要だろうと思う。


続きはこちらで
by masayuki_100 | 2008-11-25 11:36 | 木をみて森もみる | Comments(0)

ロンドンは11月3日から日付が変わり、4日になった。いずれにしろ、真夜中である。雨が音もなく降っている。

そんな秋の夜長、例の麻生首相邸見学ツアーの逮捕の模様を、あちこちのサイトで見た。

(1)「渋谷事件」の争点と総選挙  

(2)なんだ、なんだ、だまし打ちジャン。⇒「渋谷署警察官との事前打ち合わせ@ハチ公前」に公安のタコが映っちゃってるぞ(笑) 

(3)〔動画〕麻生邸見学「デモ」主催側は警察官と事前打ち合わせ

いくらなんでもひどすぎる、という見本のような「事件」である。「公安」VS「デモ隊」と言えば、公安警察官がどさくさの中で勝手に転ぶ「転び公妨」が、しばしば行われていた。要するに、警察の自作自演であり、事件を「つくる」のである。事と次第によっては、それが許容される場合もないではない、と思う。

しかし、今回の「渋谷事件」は、ビデオ映像などを見る限り、警察官による単なる弱い者イジメでしかない。巨大な警察機構の末端にいる警察官(いわば、警察組織の中の立場の弱い者)が、その力を誇示しようとするときは、本当に気味が悪い。権力を持つ弱い者が、権力を持たぬ弱い者に向かうときは、残忍さが倍加する、という。それを地で行くような映像だ。

それにしても、である。すべての記事・放送をチェックしたわけではないが、マスコミの体たらくは、もう、いかんともしがたい。一連の報道はネットでも見ることが出来るが、当局の発表のみに依存した報道の欠陥ぶりは、目を覆いたくなるほどだ。

新聞社に入れば、新人研修でふつう、「双方の言い分を取材して記事にしろ」と言われる。世の中に「客観報道」というものは存在しないが、双方の言い分を聞くことは、この商売では、ごくごく、当たり前のことだ。ところが、警察取材だけは、その蚊帳の外にある。

日本では、逮捕・拘置中の被疑者からは、直接取材できない。そういう刑事司法上の障害は、取材活動上、確かに存在する。しかし、被疑者の弁護士(当番弁護士含む)から取材するなど、被疑者側の取材をする方法は、いくらか存在する。今回の「渋谷事件」では目撃者も山のようにいるし、ビデオはあるし、支援者は記者会見まで開いた。少なくとも、そうした人々と警察との見解が違っている以上、反対側の取材もきっちり行い、がっちり報道するのが当然ではないのか。

昔から、メディアは警察に甘く、ずぶずぶの関係を築いてきたが、最低限、線引きするところはきちんと線引きしないと、もう二度と立ち上がれまい。警察報道と政治報道は、日本のメディアが持つ欠陥をすべて抱え込んでいた。それがいよいよ、後戻りできないほど悪化している。

他の原稿と同様、事件原稿においても反対側の言い分をきっちり書かないといけない。反対側の言い分を書かずに、毎日毎日、事件原稿を書いていることの異常さを自覚しないといけない。少なくとも、反対側の取材ができてない場合は、その記事は警察の発表もしくはリークであり、かつ、それ以外の取材はできていないことを明示すべきだと思う。

ネットも発達した現代において、そんな欠陥だらけの事件記事が、世間で通用するはずはないのだ。

「きょう、××を逮捕へ」と書き、スクープを書いたような気分になって安堵している場合ではない。「渋谷事件」を担当した各社の記者は、片方だけの見解をこんなに垂れ流して、それでまさか、「自分は権力の監視を担っている」などとは言わないでしょうね?
by masayuki_100 | 2008-11-04 10:48 | ★ ロンドンから ★ | Comments(1)

暴風雨のような金融危機は衰えを知らず、欧米諸国で銀行への公的資金の注入が続々と行われている。

英国では13日、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)、HBOS、ロイズTSBの大手3行に対し、総額370億ポンド(約6兆4000億円)に及ぶ公的資金の注入が発表された。英国の総人口はざっと6000万人だから、乳幼児から高齢者まで含め、1人当たり日本円で約10万円に達する。たった3つの私企業を救うために、こんな巨額の公的資金を注ぎ込んでも反対デモもロクに起きないところは、さすが、紳士淑女の国と言うべきか。

◆ ◆ ◆

ところで、公的資金とは、平たく言えば、政府が持つ現金、すなわち税金である。だから、「銀行への税金投入」と言えば良いものを、政府は「公的資金」と言い換える。この言葉は日本独特の言い回しであり、この「言い換え」こそがクセ者だ。政府は世論の反発を恐れ、「税金投入」というストレートな言い方を避ける狙いなのだが、確かに「公的資金」となると、自分は関係ないように感じてしまう。

続きはこちらへ
by masayuki_100 | 2008-11-03 06:13 | 木をみて森もみる | Comments(0)

過日、ロンドンで「Sushi Awards 2008」という催しがあり、足を運んでみた。世界各国の寿司職人7人が自慢の腕を競う試みだ。

「日本代表」は、北海道小樽市の「おたる政寿司」3代目、中村考志さん(29)だった。この店の名前は懐かしい。中村さんが着ていた白衣の左胸に店のロゴを見つけたときは、本当にうれしかった。

◆ ◆ ◆

小樽で暮らしたのは、北海道新聞社に入ったばかりの1986年4月からの3年半である。今では全国屈指の観光地になった小樽も、当時は寂れた地方の都市に過ぎなかった。赴任初日、街は深い霧に包まれ、それが寂寥感を倍増させていた。

職場に初めて足を踏み入れ、挨拶すると、壁側にいたデスクが「おめえ、挨拶くらいはできるみたいだな」と言う。いきなり「おめえ」である。


続きはこちらへ
by masayuki_100 | 2008-11-03 06:11 | 木をみて森もみる | Comments(1)

高知白バイ「事件」

以前から、ずっと気になっていたのが、高知県の「白バイ事故」である。過日、youtubeにアップされていた、地元民放の特集番組を、まとめて見た。

高知白バイ衝突死 
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) 

このほかにも、ネット上には、事故の様子、その後の裁判の経過などに関する情報がたくさんある。直接取材したわけでもないが、ざっと見て、「ああ、やっぱり」と思わざるを得なかった。警察は「証拠をつくる」「事件をつくる」のである。

警察が、自らの不都合を隠すために、ウソをつき通す姿は、裏金問題のときに、イヤと言うほど、見せつけられた。そして、志布志事件や、この白バイ事件のことを知るにつけ、いったい、彼らは何のために、こんなことを続けているのか、と思う。そして、そうした刃が単なる個人に向かってきたときの、恐ろしさを思わずには居られない。

そうした警察を「国家権力」と言うには、恰好良すぎる。

白バイ事故に限って言えば、これは、単なる保守的な組織の中で、官僚的対応しか取れない人々が、右往左往した挙げ句、だれも責任を問われずに済むように事故を処理したに過ぎないのだろうと想像する。真に、権力の一部であるとの認識があれば、警察はもっと違った対応を取っただろうと思う。おそらく、組織構成員のだれもが無責任であり、だれもがちょっとしたリスクを取る度胸すらないのではないか。

事件の現場になった春野町は、私もよく知っている。もう何年も足を運んだことはないが、今も親戚が何人か住んでいるし、かつては、そこによく通った。白バイ事件の被告・片岡さんは、テレビの特集番組を見る限り、たんたんとしているように見える。こういう人こそが、本当に強い人なのだと思うけれど、あろうことか、とうとう収監されてしまった。

ブログ 雑草魂 を読んでいると、怒りと情けなさで震えてしまう。どうでも良い事件事故報道などは脇に置き、こういう事実こそ、もっともっと報道されてしかるべきなのだ。
by masayuki_100 | 2008-11-03 00:45 | ★ ロンドンから ★ | Comments(4)