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ニュースの現場で考えること

木をみて森もみる(22) 「男なら銃には銃、爆弾には爆弾だ」

北アイルランド紛争の「包括和平」がまとまったのは、1998年である。ちょうど、10年前のことだ。若い人はこの紛争を知らないかもしれない。それでも「IRA」(アイルランド共和軍)という武装組織の名前くらいは聞いたことがあると思う。

紛争の歴史自体は相当に長い。アイルランドへの帰属を望むカトリック系住民と、英国領存続を望むプロテスタント系住民が対立し、激しい抗争を繰り広げ、1970年代に最も激化した。テロの応酬、爆弾闘争、そして市街戦。福島県ほどの面積しかない北アイルランドは、まさに内戦状態だった。一般市民も含め、死者は約3700人。負傷者は3万人近くに上った。

和平は一直線には進んでいない。散発的ないざこざ、各勢力の突っ張り合いは今も続く。それでも北アイルランドには今、かつてないほどの平穏が訪れている。

◆ ◆ ◆

「銃には銃、爆弾には爆弾。主義主張のためには暴力もいとわない。男なら当然と思っていた」

プロテスタント系の民兵組織に所属していたノエル・ラージさん(51)は、そう振り返る。貧しい労働者家庭に生まれ、義務教育を終えた1970年ごろから、工場で働きながら闘争に身を投じたという。

当時は、紛争が最も激しかった時期でもある。雇用などで激しい差別を受けていたカトリック系住民が、権利拡大を求める運動に立ち上がったのに対し、プロテスタント系住民が反発。地域は二分され、それぞれが「解放区」を作り上げた。やがて双方の居住区は「平和の壁」と呼ばれる高い塀によって分断され、交流は途絶えた。

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by masayuki_100 | 2008-07-03 09:10 | 木をみて森もみる