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ニュースの現場で考えること

やっぱり目が離せぬ「Grip Blog」

ここ数日、札幌に滞在している。東京も寒くなってきたけれど、札幌はそれ以上に寒い。5号館のつぶやきさんが少し前のエントリ「ユキムシの頃」で書かれていたように、この札幌郊外でも連日、雪虫が舞っている。もうすぐ、雪の季節だなあ、としんみり。やはり、北海道の夏は短すぎるし、秋の駆け足は早すぎる。空気が凛とした、寒い季節も嫌いではないけれど。

パソコンにアクセスもせず、そんなぼんやりした日々を過ごしているうち、Grip Blogで面白いことが起きたようだ。「緊急!「民主党 ブロガーと前原代表との懇談会」の出席者募集」が、それである。10月末日、民主党の前原代表がブロガーを招いて、党本部で懇談会を開催するという。「懇談」と称してはいるが、内容はオープンになることを前提にしており、実体は記者会見と同種のものだ。

同じ時期、自民党もブロガーを集めた懇談会第2弾を開催するようだ。これもGrip Blogに書かれている。その末尾でGrip Blog主宰の泉あいさんが、「民主党さんはどうすんのょ」と溜め息交じりに書いており、もしかしたら、民主党はその溜め息に突き動かされたのかもしれない。

双方の政党による「ブロガーの招き方」を見る限り、私は民主党に軍配を上げる。自民党が党側で人選を行ったのに対し、民主党側は、人選を泉あいさんに一任しているからだ。警備上の理由など種々の要因が働いた結果かもしれないが、名も無き(いや、すでに有名かな・・・)泉さんに人選を一任するというのは、相当に思い切った策ではないか(もちろん、泉さんある意味、甘くみられているからかもしれない)。ブロガーの囲い込み、ブロガーを利用した宣伝戦も、そろそろ無視できなくなってきたということなのだろう。人選を泉さんに一任したことで、民主党に対する世間の評価がプラスに働くことは、ほぼ間違いないからだ。言ってしまえば、たぶん、民主党による「話題づくり」だろう。

で、問題はその先だ。



話題づくりであろうと何であろうと、泉さんらは、前原代表と面と向かう機会を得た。せっかく、そういう機会を得たのだったら、やはり、「記者・泉あい」には、前原代表の話を「拝聴」するだけでなく、一本取って欲しいと思う。「一本」が何であるかは、そのときの会談内容によって違ってくるが、一番効果的なのは、これまでに行っていない発言、かつ大手メディアが引用せざるを得ない発言を引っ張り出すことだと思う。

しょうもない例えだが、仮に泉さんやその他ブロガーの質問を前に、窮地に追い込まれた前原代表がついに「実はワタシ、女だったんです」と語ったとする。そして、Grip Blogなどが一斉に報じたとしよう。すると、このニュースはテレビや新聞は無視できまい。そうなったとき、Grip Blogは本格的にブレイクするに違いない。韓国のオーマイニュースがブレイクしたのも、オーマイニュースによるネット発のスクープを他紙が追いかけた(追いかけざるを得なかった)ことがきっかけだった。

もちろん、そこまできばらなくても、前原代表が返答に詰まったとか、ノーコメント連発したとか、そんなものでも構わないと思う。要は「舐められない」ことを態度で示すことではないか。民主党が嫌がる質問も遠慮なく行い、民主党に手厳しいブロガーもきちんと集め、で、前原代表に「なんだなんだ、この懇談は。あんな嫌な質問ばかりぶつけてきて・・・事務方は何をやってんだ?」ぐらい思わせつつ、しかし、次回以降も懇談を継続せざるを得ないと思わせる。そういう存在を目指すべきだと思う。新しい報道機関設立を目指す以上は、やはり、そうであってほしいと思う。

私がブログを始めた今年初めのころ、もちろん今でもそうなのだが、ネット上には、「記者会見にブロガーが出席できないのはおかしい。マスコミが情報を独占するのはヘンだ」という意見がたくさんあった。確かに、閉鎖的な記者クラブ制度によって、マスコミの情報独占が継続している実態はおかしい。非常識もいいところだ。しかし、では、政治家の記者会見参加や政界取材を望んでいるブロガーが、実際にどの程度存在するかとなると、これはまた別の話である。ホワイトハウスの記者証がブロガーに与えられた、米大統領選では民主・ぎ共和両党がブロガーに大量の取材パスを与えた、それに引き換え日本は・・・という議論もあったが、これなどは「ブロガー」と「取材者(=取材したいという意志を持つ者)」を混在させた意見だったと思う。

マスコミ企業に属していなくても、1人で取材者たろうとし、実際、立派な仕事をしている人は日本でも大勢いたし、現に今も大勢いる。泉さんも、その隊列に加わったに過ぎない。

もっとも、一部の実力ある人やすでに著名になった人は別にして、そうしたフリー等の人たちは多くが、力関係では、出版社より弱い。発表する場を確保し続けるには、少々理不尽なことにも耐えなければならない、といった状況下にあると思う。一方、既存メディア企業の報道部門には、「大卒」「入社試験」「5年前後の下積み」「会社組織の古い体質」といったネックがあり、取材したいことを思うように取材する立場には、なかなか就くことができないものだ。

その環境は「ネット」が変えつつある。ブログを筆頭に、だれもが簡単に「メディア」を持つことができるようになった。出版社の下請けになるのでもなく、大手メディア企業内部の種々の壁に遮られることもなく、意志と熱意と若干のスキルによって、だれもが発表手段を持ち、「記者」になる道が開かれてきた。そして、ネットの双方向性を利用した新しい記者のスタイルも、Grip Blogによって形が見えてきた。だからこそ、問題は「これから」である。

勝手な憶測を言えば、目新しさはそろそろ賞味期限が近付いている。それを分かっているからこそ、泉あいさんは新メディア設立へと舵を切り始めたのだろうし、そうした熱意の塊を、民主党も(主眼が話題づくりだったとしても)無視できなかったのだと思う。

まあ、なんだな、よく知ってる仲だから呼び捨てにしちゃうけれど、泉、お前は本当にすごいな。民主党から、ぜひ一本取って来いよ。
Commented by net-samurai at 2005-10-28 18:52 x
はじめまして。民主党の前原代表がブロガー会見を開くとのこと。画期的なことと思います。でも「小人数で」というのはいただけない。しかも今まで記者クラブの排他性を厳しく追及してきたブログ主さんが、人選を任され嬉々としておられる。希望する人は誰でも参加できるようにしないと、既存の記者クラブ主催の会見と変わらないと思いますが如何に。
Commented by masayuki_100 at 2005-10-29 00:44
net-samuraiさま。こちらこそ、はじめまして。

>「小人数で」というのはいただけない。しかも今まで記者クラブの排他性を厳しく追及してきたブログ主さんが、人選を任され嬉々としておられる。

まずは、10人という数が、どういう経緯で決まったのか承知していないので、何とも言えない気もします。泉さんのブログを読む限り、最初は「泉さん1人ですよ」と言われたのに、それを泉さん側からの提案で、とりあえずは10人にしたのなら、それはそれで一歩前に進んだのではないかと思います。定員10人うち5人が「公募」が妥当かどうかは、本当に参加したいという人がどれだけ存在するかにも左右されるでしょう。むしろ、泉さんが選んだ5人、及び公募した人の選定基準がどのようなものだったかは、きちんと明示してもらった方が良いし、そこに疑義を感じる人はそれをきちんと求めるべきだと思います。

Commented by masayuki_100 at 2005-10-29 01:03
(続き)
>希望する人は誰でも参加できるようにしないと、既存の記者クラブ主催の会見と変わらない

それもそうですが、現実問題としては、一方で開催日が迫っている。その中で、参加人数の確定、それに見合った会場の確保、警備上の問題等々、種々の事項を泉さんに背負わせるのは難しいと思います。「希望者は全員参加」を泉さんに一気に求めるのは、今回は妥当ではないのではないかと。

原理原則の主張はとても大事ですが、一方では、現実は少しずつしか変わりません。やがて一気に局面が変わることはあるにしても、最初は遅々としたものです。「変革」とはそういうものだと私は思います。それを受け容れないと、原理主義者になってしまい、スローガンを声高に叫びながら、その実、「味方」であるはずの人々の足を引っ張り、変革の芽自体をつぶしてしまう危険性もあるのではないか、と感じます。ですから、今回の試みも、これが1回で終らぬように、そして2回目、3回目と、より良い形になるように知恵を出し合えば良いのではないかと思います。
Commented by 鮫島 at 2005-10-29 03:40 x
まあ、ギャアギャアと騒いで議論をぶち壊す、五月蝿いだけのガ島君を泉女史が誘わなかったのは正解でしょう。どうやら彼氏、民主党が出す弁当をどうしても食べたいみたいなので、泉さん、ここをお読みでしたら、一個お土産に持ってかえってあげてください。弁当の包み紙のしわをアイロンでのばして額に飾っておきたいようですから。
Commented by net-samurai at 2005-10-29 12:32 x
高田さま。お返事ありがとございます。おっしゃってることはその通りと思います。排他性にも現実的合理性がある場合もあるのです。原理原則で記者クラブ制度を批判する人にも考えてもらいたいものです。
Commented by 素町人@思案橋 at 2005-11-14 11:41 x
 突然ですが、トラックバックのご挨拶です。
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by masayuki_100 | 2005-10-28 10:42 | ■ネット時代の報道 | Comments(6)