人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ブログトップ

ニュースの現場で考えること

元道警最高幹部は何を語ったか(2)


2004年3月4日。道警裏金問題を審議する北海道議会層武威委員会の冒頭、元道警釧路方面本部長の原田宏二氏は、次のように語りました。(詳細はココ

信頼回復へ私情抑えて現在の心境や行動に至ったこれまでの経過を説明したいと思う。

 私が裏金づくりに直接タッチしたのは、一九六四年四月に配置された当時の北見方面本部刑事課が最初。階級は巡査部長だった。初めて領収書や関係書類を、命じられるままに偽造した。その後、退職した九五年まで十七カ所の所属(部署)を転勤したが、何らかの形で裏金づくりに関与し、一部を受け取り、その存在を知っていた。

 最初は立場が下で関心は無かった。階級が上がり、ほぼ全ぼうを知ったが、気持ちの奥底にしまい、現場の仕事に打ち込んでいた。しかし、道警中枢の管理部門で仕事をするようになって全体を知り、こんなことをしていていいのか、自省の気持ちが強くなった。

 九〇年二月の旭川中央署長時代、道監査を受け、こんな会計処理がいつまで続くのか疑問を持った。九四年の会計検査後に私なりの行動を起こしたが、少数意見でしかなく、機は熟しておらず、何の改善をすることなく退職した。



 その後、民間会社に七年勤めたが、ある官庁(道庁)出身の方が同じような(裏金)問題で一部を返還しており、その人に「道警は組織がしっかりしていていいね」と言われたのが忘れられない。この問題は、つまり官公庁では公然の秘密である。私は(道庁裏金)問題が浮上した時、すでに退職していたが、道警に自浄能力を発揮してほしいと思っていた。

 しかし稲葉問題(道警の稲葉圭昭元警部=服役中=が在職中に覚せい剤や拳銃の密売に手を染めていた事件)があった。(稲葉元警部が所属した)銃器対策室が発足した時、私は(上司の)防犯部長で、事件に強い関心を持った。背景には協力者の運用あるいは捜査費の問題、人事管理の問題などがあると予想された。

 さらに昨年、今回の旭川中央署の問題が明るみに出た。実は、問題になっている当時の署長二人は以前、私の直属の部下だった。彼らは真相を語る立場にはない、語れないということを強く感じた。他のOBも同じ。現職はなおさらだ。彼らはどんな場所でも機会でも多分、真実を語ることはない。警察組織はそういう組織だ。

 二人が窮地に陥ったのを見かねて、同じことをした私が名乗り出て、道民に謝罪し、真実を話すべきだと判断した。

 その後、マスコミなどで私が英雄のごとく扱われることになりつつあるが、本意ではない。私はこの問題に手を染めた男であり、何の改善もせず退職した男だ。道民におわびするために、ここへ来た。私も道警に三十八年勤め、組織への愛着もある。かつての上司もいる。部下もいる。同僚もいる。マスコミに話す時も非常に大きな葛藤(かっとう)があった。

 再び話すことにより、かつて側近だった部下、お世話になった方々に再び迷惑を掛けることもあろう。しかし、これは彼らの責任ではない。私は、道警に残した過去の負の遺産を清算し、現在と将来の道警の信頼回復のため、私情を抑えて体験した事実を話したい。

 (道議会総務委員会の)委員にもお願いがある。今、現場の警察官は肩身の狭い思いをし、士気も衰えている。「もうこの組織にはいたくない」という人もいる。みな優秀な警察官だ。むろん、真相解明や上層部の責任追及も大事だ。どうか、現場で働く多くの人を忘れないでいただきたい。例えば報償費の問題でも、どうしたら現場で使いやすくなるのか、議論していただきたい。
元道警最高幹部は何を語ったか(2)_c0010784_17453890.gif
by masayuki_100 | 2005-01-01 16:50 | |--元道警幹部らは語った