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ニュースの現場で考えること

■札幌から■「監視カメラはいくつ必要?」 2003年11月22日

全国各地でいま、「自警団」的組織が急増していることをご存知ですか。「犯罪多発都市」と言われるようになった東京では、とくに動きが目立つようです。

最近、ざっと目を通した通信社の原稿を拾ってみると、、、

「墨田区の主婦六十六人は10月11日、『買い物パトロール隊』をつくった。自転車の前かごに「特別警戒実施中」と記した黄色のプレートを付けて買い物に出かけ、犯罪を見つけたら110番するねらいだ」

「板橋区で10月2日、郵便局や東京電力、信用金庫など10事業者の配達・営業担当者と区の外勤職員ら計2500人がセーフティー・ネットワークが結成された。仕事で街を回っている際に、ひったくりや自転車盗、痴漢などを目撃したら警察に通報する。パトロール中と書いた腕章を着け、自転車やバイクにワッペンを張って、犯罪抑止効果も狙う」

「江戸川区にある大相撲の伊勢ノ海部屋は、毎日午後11時ごろから1時間、若手力士が2
人1組で周辺を巡回。親方(元関脇藤ノ川)の発案で2月から始めた」

ほかにも似たような動きは、たくさんあります。世田谷区の私鉄駅前には「民間交番」も活動を始めていますし、「民間パトカー」を導入したところもあります。一方、東京圏・大阪圏の知事7人は9月、全員がそろって警察庁長官に面談し、「警察官をもっと増やし、重点配置してほしい」と要望しました。

東京や神奈川、福井などの各都府県では、犯罪多発を前に抑止プログラムを策定していますが、その多くに「監視カメラの積極導入」「民間によるパトロール強化」がうたわれています。後に訂正はされましたが、民主党の松沢・神奈川県知事が「外国人はみな犯罪者」という趣旨の発言を行ったのは、つい数日前のことです。

犯罪多発は憂慮すべきことですし、対策に本腰を入れるのも当然でしょう。しかし、こうした自警団的組織や相互監視による「犯罪抑止」には、どうしようもなく、居心地の悪さを感じます。

ひと昔前に存在していた「地域社会」は崩壊しましたし、それによって犯罪が未然に防げなくなった。これは良く言われることです。ただし、一度壊れた地域社会、それを支えた大家族制が元に戻らないからと言って、壊れた地域社会に代わる機能を「相互監視」「自警団」に求めるのは、いかがなものでしょう?

住基ネットの本格稼動と相まって、この先、日本はとんでもない方向に進むのではないかとの危惧が、どうしても消えません。いったい、自警団組織をどれだけ多く作れば、犯罪はなくなるというのでしょう?

監視カメラは何個必要なのでしょう?
by masayuki_100 | 2003-11-12 19:53 | ■社会