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ニュースの現場で考えること

結局、こういうことなんだよな

奈良県の幼女殺害事件などを契機にして、性犯罪者の出所情報をどうするか、という議論があった。それを法務省と警察庁が協議し、この6月から性犯罪については実施することになっていたが、「やはり」というべきか、あっという間に、他の犯罪も対象になりそうである。

出所者情報提供、殺人・強盗など20罪種も追加方針 (読売新聞 5月17日) (以下は引用)。

 法務省は16日、再犯防止などの目的で警察庁に提供する受刑者の出所情報について、既に決まっている12歳以下の子供に対する強姦(ごうかん)や強制わいせつなどの性犯罪以外に、殺人や薬物使用など約20罪種も追加する方針を固めた。対象拡大を要請していた警察庁との協議で大筋合意した。子供対象の性犯罪と同時に6月から実施したい考えだ。
 提供の対象は、〈1〉殺人、強盗、強姦などの凶悪犯罪〈2〉覚せい剤取締法違反、放火、窃盗など常習性の高い犯罪――の計約20罪種で服役した受刑者の情報。子供に対する性犯罪者については、再犯防止が主な目的のため、出所日と、出所後の居住先の「帰住予定地」の情報を提供する。今回の拡大分は、警察庁が捜査への活用を念頭に置いており、当面、出所日に限定する。ただ、捜査上の個別の照会があれば、従来通り住所情報などの提供に応じる。
 一連の情報提供については、奈良市の女児誘拐殺人事件の容疑者が性犯罪前歴者だったことを受け、法務省と警察庁が協議した結果、12歳以下の子供に対する強姦、強盗強姦、強制わいせつ、わいせつ目的略取・誘拐の四つの性犯罪の情報提供で合意した。
(引用終わり)

もっとも、この記事には、例えば、「住居侵入」も対象罪種に入っていることは報じられていない。連休中の共同通信の配信によれば、「政府は、再犯防止策の一環として法務省が警察庁に提供する受刑者の出所情報の対象について、既に決めている『13歳未満の子供に対する4種類の性犯罪』に加え、殺人や放火、強盗、窃盗、住居侵入など再犯性が高いとの指摘がある計20程度の犯罪に拡大する方向で検討に入った」とあった。そのほかのメディアも同様に住居侵入なども含まれると報じていた(うまくネットで探し出せませんが)。

「計20種」には、いったい何が含まれているのか。「住居侵入」も再犯の可能性が高いというが、そういう議論になれば、そもそも犯罪全般が再犯の可能性が高いのである。それに、住居侵入は、東京で頻発する「ビラ配りで逮捕」を見ても明らかな通り、単純な刑事事件ではなく、いわゆる政治事件に簡単に援用できる。




6月実施というなら、あと2週間程度である。こんな大事な話を国会等でロクに審議もしないで、さっさと決めてしまってもいいのだろうか、と思う。そもそも、こんな施策が法律に拠らないで決定できることが、またおかしい。

そして。最初にこの論議が起きた時点で感じた居心地の悪さ、、、つまり「ミーガン法とか何とかが持ち出され、性犯罪を議論の全面に押し出しているうちに、いつの間にか犯歴情報開示の話が他の犯罪にも広く適用させる仕組みができるのではないか」という懸念が、実にあっさりと実現していく気配なのだ。

法務官僚・警察官僚のホンネは、そもそもからして、性犯罪の抑止が第一ではなく、「情報はすべて俺たちが握るよ」というところにあったのではないか。そのためには、奈良の事件も利用させてもらいますよ、と。


(追記)
No words,No lifeさんのエントリ「足元に、火が放たれようとしている」から引用

最近の施策には共通点があるように感じる。「これ、許しちゃうとエスカレートするばっかりで、国家権力に都合のいいことばっかりじゃないの」という感想だ。ミーガン法もしかり、人権擁護法案も然り。いや、これ、本当になし崩し的に適用が拡大されると、戦時中の日本に戻っちゃうような案件ばっかりが出てくるのはどうして?そういう時代なのだろうか?私たちの先人たちが築き上げてきた民主主義が危険にさらされているような思いでいっぱいだ。そして、それは対岸の火事ではなく、もう自分の足元で強い火が燃え上がろうとしている気がしてならない。
by masayuki_100 | 2005-05-17 11:29 | |--世の中全般