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ニュースの現場で考えること

JR福知山線の事故と、リストラ社会

はっきりとは指摘できないけれど、何か、どこかで、大きく歯車が狂い始めているのではないか。。。本日4月25日に起きたJR西日本の福知山線での列車事故を見ていると、そんな気がしてくる。「根拠は何か?」と問われても、明確なものは示せないのだが。

ただ、例えば少し前に、事故や整備ミス、管制官の指示に従わなかったパイロットなど、日本航空の「安全管理」が大きなニュースになった。そこまでひどくなくても、全日空も同時期、類似のケースが何度かニュースになった。国土交通省のまとめでは、そうした事故等は昨年、2003年の倍近くに達したらしい。

列車も似たような感じがする。少し前は、高知県の土佐くろしお鉄道の宿毛駅で、特急列車が列車止めを突き破って駅の壁に激突した。北海道では、5号館のつぶやきさんが、以前、「事故が多発するJR北海道」「JR北海道:ついに人身事故」というエントリを立てていたように、大きな事故「寸前」の出来事が続いている。

そして、以下のようなニュースがある。

釧路北交も解雇へ タクシー運転手、最低賃金払えず
(北海道新聞HPからの引用。一部略) 2005/04/24 07:06

 釧路市のタクシー会社「釧路北交ハイヤー」(土橋正幸社長)は二十三日、道の地域別最低賃金(一時間六百三十八円)に見合う営業収入を得られない運転手を解雇する考えを、百六人の運転手全員に説明した。二十五日から約半数の運転手と個別に面談した上で解雇者を決める。釧路では同系列の「鈴蘭交通」(同社長)が、最低賃金を払えず二十一日に営業を休止している。
 鈴蘭交通と同様、運転手の給与は、基本的に各自の営業収入の45%という完全歩合制で、一時間に千四百十八円以上稼がないと最低賃金に達しない。(
引用終わり)

おそらく、こうした問題は、根っこが同じなのだと感じる。



4月中旬、北海道新聞で「走っても稼げない 陸運業界と規制緩和」という連載ものを掲載した。。。。タクシーもトラックも、いわば規制緩和の象徴だが、「自由化」によって、トラックもタクシーもやたらと台数が増え、現場は過当競争がいよいよ激しくなっている。その中で、どうしても「安全面」の手抜きにつながりかねないような人員削減や法律違反が横行している。事故に遭わないのは、それぞれの運転手にとっては僥倖でしかないのかもしれない。運賃が下がって利用者はその面だけを見ればプラスかもしれないが、運転手の生活を破壊するような競争とはいったい何なのか。。。そういった趣旨だった。

私はかつて、10年ほど前、内橋克人氏の「規制緩和という悪夢」を読んだことがあって、10年後の日本はきっとこうなるのだろうと思ったことがある。まさに、今の感覚がそうなのだ。

「リストラ」という名の人員削減・解雇がどんどん進み、それは「安全」分野でも進み、そのぎりぎりの状態で、運転士やパイロット、整備士たちはたぶん、「定時運行」という激しいプレッシャーにさらされているのではないか。少しでも遅れると、管理職から強い叱責があり、場合によっては何らかのペナルティーもあり、、、そういう環境なのだと思う。

「自由化」「規制緩和」は、金融の世界がそうだったように、いわゆる事前の認可ではなく、一定のルールの下で競争が公平・自由に行われ、官はルール逸脱が無いかどうかを「事後的にチェックする」仕組みだと言われた。しかし、金融検査官も運輸局の担当官も、十分に目配せできるほど人は配置されてはいないし、驚くほどの少なさだ。例えば、北海道ではバスやトラック、タクシー等の計約5000社に対し、運輸局の担当官はたった30数人だそうだ。

福知山線の事故は、原因が解明されていないし、軽々しいことは言えない。ただ、全国を覆うかのような「ミスの連鎖」を目の当たりにすると、どうしても、そう思えてくる。以前のように、「安全」や「定時」のために、人を十分に配置していた(当時は当時でそれなりの物言いはあっただろうが)時代は、もうどこかに行ってしまったのだ。利用する側も「たった数分遅れたとしても、それが何なんだ?」という、“のりしろ”みたいなものを失っているのだと思う。


(追記:4月26日午前1時)

福知山線の事故は、亡くなられた方が50人を超す惨事になってしまいました。本当に何と言っていいのか分からない、悲しい出来事です。亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。
by masayuki_100 | 2005-04-25 13:55 | |--世の中全般