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ニュースの現場で考えること

ニュースのブログ化における『壁』

愛読しているブログ猫手企画@新聞屋さんのエントリ「カナロコTB&コメント解禁:猫手企画が1gets!」によると、猫手さんが神奈川新聞に初トラックバックを行ったそうです。おめでとうございます~。

その神奈川新聞が、毎日新聞に登場。「地方紙とネット 「カナロコ」の挑戦」と題する記事で、担当の局長さんがインタビューに答えています。それを読みながら思ったのは、いやはや、メンテナンスも含めてなのでしょうが、保守管理がたいへんそうだなあ、と。それに、やはり、新聞社によるニュースのブログ化には、ある種の制約がどうしても付きまとうなと。。。それはそれで致し方ないのかもしれない、という思いが募ります。

私は以前のエントリ(2月28日)「神奈川新聞のブログについて」で、新聞社によるニュースのブログ化には、いくつかの関門があるとの考えを記しました。それを整理すれば、主な2点は以下の通りでした。

(1)TBやコメント欄を無秩序に放置できない
 :選挙の際に特定候補に利用される危険、犯罪報道等で被害者等のプライバシーが暴かれ る可能性、特定宗教の布教に利用される可能性等々があるため。報道機関としての社会的責任がある以上、そうしたTBや書き込みは放置できないのは自明。かといって削除を始めると、その基準及び削除妥当性の問題が生じるほか、ブログの最大長所である双方向性を減殺してしまう。

(2)マンパワーの問題
 :上記のような事態を防ぐには、担当者を常時張り付け、いわば画面を「監視」する必要が生じる。そこまで人を配置して、果たして収益とのバランスはどうなるか。また、コメント等に取材記者が対応する場合にも問題が生じる。つまりTBやコメントが殺到するようなニュースは、おそらく取材記者もめちゃくちゃ忙しいのであり、TB等への対応に追われると、肝心の取材の足が止まる可能性がある。




まあ、ほかにも問題はあるのですが、(詳しくは過去の私のエントリを見ていただくとして)毎日新聞で紹介された神奈川新聞さんの話を読んでいても、そのへんが一つの壁になっているようです。

ほかのエントリでも書きましたが、ブログは技術的に非常に優れた機能を持っており、使い方次第では、相当の可能性を秘めているとの思いに変わりはありません。ただし、既存メディアがブログを導入することについては、現状ではある種の制約が避けられません。TBやコメント欄をフルオープンにしても、メディア側が対応しきれないでしょうし、同時に受け手側のマナーや節度も未成熟な部分があります。

私の考えでは、ブログ機能は今のところ、「既に報道済みの内容」に対する検証・論評について、最も有効です。「参加型ジャーナリズム」という言葉もありますが、既存メディア側が取捨選択をしない「読者の声」みたいなものでしょうか。もちろん、読者同士の意見交換も、そこに書き手が加わってのやり取りもできるわけです。しかし、そこでは、上の(1)(2)で示したような制約によって、ある種のもどかしさが残り、訪問者もそれにすぐ気づくでしょう。そして、瞬く間に「やっぱ新聞社のブログってつまんないや。反応は遅いし、記者は奥歯にモノがはさまった言い方しかしないし、それに最も意見を言いたい『事件もの』にTBが出来ないなんて!」と思ってしまう、、、そんな感じがしています。

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Commented by nekotekikaku at 2005-04-15 14:34
TB&リンクありがとうございます。ご指摘のように確かに管理大変そうですね。ですが読者個人真剣にと向き合うという事は、それだけ労力がいると今新聞が気づいただけなのかもしれません。カナロコ読者の中からイノベーターが現れ、自律的な運営が行なわれるようになるまでは、スタッフの方にはひたすら頑張ってくださいというほかありません。
Commented by masayuki_100 at 2005-04-15 14:46
nekotekikakuさま、コメントをありがとうございました。

おっしゃる通り、単なる「管理」「マンパワー」だけで済めば何とかなるのでしょうけれど、(私は技術的なことは良く分かりませんが)、例えば、少年事件の加害者や被害者のプライバシーがコメント欄に書き込まれ、すぐに削除したとしても、そのわずかの合い間にコピーされて、「××新聞はこういうコメントを許容していた」とかなれば、まあ当然に法的問題も生じます。選挙や宗教も同様です。かといって、お茶を濁して、街ダネみたいなニュースにのみコメントを許可すれば、内容はつまらないでしょうし。。。そのへんをどう判断するかがポイントではないか、と思っています。
Commented by けいすけ at 2005-04-15 18:17 x
「ブログ機能は今のところ、『既に報道済みの内容』に対する検証・論評について、最も有効」というお考えですが、この「検証・論評」の中には、読者からの「そこをもっと調べて欲しい」みたいな、読者が知りたがっているニーズ利用みたいな可能性も含まれるとお考えでしょうか。そうなると新聞離れの歯止めにも使えそうな気もするのですが。。。シロウト考えですみません。
Commented by テサラック at 2005-04-15 18:34 x
こんにちは。
確かにおっしゃるとおり、難しい問題ですね。
>このマークのある記事はコメント・トラックバックできます
この一文に、神奈川新聞さんの苦悩がにじみ出ていると思います。でも、これは神奈川だけの問題ではありません。新聞業界全体で、ウェブ上のジャーナリズムのあり方について論議すべきではないでしょうか。わが社でもそうなのですが、高みの見物を決め込んでいる人が意外に多いのが、残念でなりません。
Commented by syumijin at 2005-04-17 18:35 x
まず、記事や掲載の方針(ポリシー)がまず大事なんでしょうか。
確かな内容だけを載せたいというのが、前提にあるとすれば、方針(ポリシー)がまず大事。

 ですので、開き直ると、送られてくるコメントも方針(ポリシー)に従って載せますよ、返事や参考にしますよと、いうのも有りだと思えます。その代わり、(時間の許す限り)ちゃんと読んでますよというメッセージが伝わればいいのではないかと。
と、すれば、コメントの掲載は、記事掲載から1週間とか一定期間毎とかでよくなり、コメントを読む時間も確保できるようになるかと(コメントは書いた人だけ読むことができ、貰った側が読むまでは幾らでも修正できるけど、読んだ後は変更できないだとか)。
また、トラックバックに関しては、リンクした後にリンク先の内容が変わる可能性もあるということを考慮しておく必要もありそうです。

掲載されないものはどうなるのという意見はあるのですが、それこそウェブログのネットワークがあるのですから、記事毎にURLをしっかり張っておけば、読者は自由にリンクを張り語ることもできる訳で、深刻に考え過ぎる必要はないかもしれません。

Commented by 柴沼均 at 2005-04-20 00:31 x
初めてコメントさせていただきます。

既存メディアの一員として、この問題の壁を感じるのは、コストパフォーマンスが悪いということです。神奈川新聞は発行部数が20万部を越えてますが、カナロコのコメント、トラバは一桁です。毎日新聞の発行部数は400万部弱ですが、記者ブログの反応は1万分の1しかありません。そう遠くない将来に、より、ブログへの反応が出てくると信じていますが、現状では既存メディア側に、営業面で手間隙をかけてブログをするメリットを感じさせるのは難しいのではないでしょうか。

 メディアと市民(この言葉もしっくりこないですが)が共同体とすれば、神奈川新聞、八重山毎日のような頑張っている新聞社への応援をぜひお願いしたいと、旧来型のメディアがいつまでものさばる状況を変えられない気がします。
Commented by at 2005-04-21 00:48 x
初めてコメントさせていただきます

けいすけさんの
>この「検証・論評」の中には、読者からの「そこをもっと調べて欲しい」みたいな、読者が知りたがっているニーズ利用みたいな可能性も含まれるとお考えでしょうか。

この考えは既に取り入れているジャーナリストblogがあります
GripBlog-私が見た事実-
http://www.surusuru.com/news/
きっとその仕組みは組織としての報道機関では現状のシステムでは不備がありすぎて無理でしょう
でも、個人のジャーナリストblogがこのスタンスをとれば面白い発展がと期待して見ています
Commented by masayuki_100 at 2005-04-21 18:32
けいすけさん、コメントをありがとうございました。

>「検証・論評」の中には、読者からの「そこをもっと調べて欲しい」みたいな、読者が知りたがっているニーズ利用みたいな可能性も含まれるとお考えでしょうか。

全くその通りです。今の新聞が一番欠けているのは、「1対マス」に替わるシステム、すなわち「双方向」であり、ブログは手段として有効だと思います。そのやり取りの中では、当然、けいすけさんの御指摘の内容も数多く登場するだろうと考えています。
Commented by masayuki_100 at 2005-04-21 18:38
テサラックさん、いつもコメントをありがとうございます。

>新聞業界全体で、ウェブ上のジャーナリズムのあり方について論議すべきではないでしょうか。

私の知る範囲では、数は少ないですが、業界横断的な研究会は存在します。また新聞協会などが音頭を取る形の研究会もあるようです。限られた方しか参加できない「クローズ」方式のようで、残念ですが。

>わが社でもそうなのですが、高みの見物を決め込んでいる人が意外に多いのが、残念でなりません。

たぶん、どこも状況は似たり寄ったりでしょうね。ただ、私は社内で率先して、ブログやネットの効用を説き、感化される人を増やしています。「高みの見物が多い」のは事実ですけれど、そういうときは、自分が火付け役になろうと(^^;
Commented by masayuki_100 at 2005-04-21 18:39
syumijinさん、はじめまして。コメントで指摘されている、いわば「時間差」の考え方、大いに参考になりました。ネット上のことですから、「リアルタイムで」に少しこだわりすぎてモノを考えていたのかもしれません。
Commented by masayuki_100 at 2005-04-21 18:49
柴沼均さま。毎日新聞の連載、興味深く読ませていただきました。

>そう遠くない将来に、より、ブログへの反応が出てくると信じていますが、現状では既存メディア側に、営業面で手間隙をかけてブログをするメリットを感じさせるのは難しいのではないでしょうか。

たぶん、ネットのヘビーユーザーが社会で偏在しているためではないかと考えています。今は新聞の「熱心な」読者層と、ネットのそれが重複していない。この先、ネットが拡大してきたときに、カナロコのコメントやTBがどうなるかは不明ですが、ネットであれ、紙であれ、力を入れて仕上げた報道については、それなりの反応があるだろう、ということです。

カナロコなどの試みは始まったばかりですし、そう焦る必要もないのではないかと。ブログはどこまで行っても「手段」であり、ブログを備えたから受け手の反応が「急激に」増えるものではないのではないでしょうか。やはり、「内容」です。中身が勝負です。ブログ云々は、その中身を土台にして、どうやって「1対マス」の関係を改善し、「双方向」をうまく機能させるかの問題だと思っています。

またよろしくお願いします。
Commented at 2005-04-22 10:02 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by masayuki_100 | 2005-04-15 11:04 | ■ジャーナリズム一般 | Comments(12)